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DIVE TO BLUE 【気象系BL】

第3章 ゚+o。◈。o+゚+o。◈。o+゚+o。◈


【flagile】





穏やかな昼下がり

教室の片隅で、
頬杖をついたまま、窓の外を眺めてた


クラスメイトの他愛ないやり取りさえ、ひどく遠くに感じる









自分が自分じゃなくなるような感覚


こんな青空の下にいること自体、不自然に感じてしまう



非日常的なあの空間に


脚を踏み入れた瞬間から、

少しずつ闇へと浸蝕されているのかも知れない






だから俺は、

陽のあたる場所にいる彼女を、

巻き込んじゃいけないって思うんだ






「潤っ!

ねぇ、聞いて」





背後からガバッと腕を回してきたミキの顔が、


俺の頬とぶつかる


甘いフレグランスが鼻を擽って、
それだけで、胸が締め付けられるようだった





「なに…?

びっくりするじゃん」




回された腕に触れることも出来ず、


ただただ、必死に笑顔を浮かべる






「あのね。決まったの」

「…え?」

「バイト!駅前のファーストフードなんだけどね?」





弾んだミキの声が


切なくて、


痛くて……






「高校生のバイトじゃしれてるけど、

ふたりで頑張ったら早く貯まるよねっ」





クラスの女子ん中でも、
大人びた顔をしたミキは



笑うと途端に幼くなる



中身も意外と"夢みる乙女"で



いかにもオンナノコな、甘えた素振りや我が儘が




可愛いなって…ずっと思ってた




なぁ、ミキ

俺がオトコと

"ソウイウコト"してるなんて知ったら軽蔑する?



嫌いになるだろうな





だから、知られる前に


終わりにしなきゃって




抱き締める権利さえないって思うから







「……ミキ」

「ん~?」






腕を離し、
覗き込むように俺を見つめる





残酷なほど


ミキの為にはいい





「あのさ…そろそろ言わなきゃって思ってたんだ」

「なになに?」





机の下で左手をギュッと握り締めた





真っ直ぐなミキの瞳に


俺が写ってる





もう2度と


こうして彼女の瞳には写らない









「別れよう。

もうさ…飽きたんだよね、お前のこと」








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