第3章 ゚+o。◈。o+゚+o。◈。o+゚+o。◈
【blue note 1】
何気無い光景だ
それぞれに、楽しそうに過ごすクラスメート
くだらない冗談を言い合ったり、
ケータイ片手に盛り上がってる奴ら
独りの世界を楽しむように、黙々と本を読んでる奴もいる
今までは、気にも止めなかったし
当たり前過ぎて
何も思うことなんてなかった
窓際の最後列の席で、
ぼんやりそれを眺めながら
自分だけ別世界にいるようで
ヤケに居心地が悪かった
少し前までは、確かに俺も
"そこ"に存在していたのに……
「ねぇ?
潤、どうしたの?」
「ミキ…」
机に手をついて、
俺の顔を覗き込むと
指先で頬に触れた
ただそれだけのことなのに、ビクリと身体が跳ねる
「えー?そんなに驚くことないのに~」
クスクスとからかうように笑うミキに、必死で笑い返す
「最近、変だよ?
バイト辞めたのも言ってくれなかったし」
「ごめん」
「怒ってないけど…
あの話……忘れちゃったの?」
一瞬、頭が真っ白になった
拗ねたミキが、軽く睨んで、
漸く頭に浮かぶ
「忘れてないよ。
やっぱり…時給いいとこにしようかって思っただけ」
「そうなの?」
「そうだよ」
ミキの晴れた笑顔に、
罪悪感も芽生えたけど……
ホントのコトなんて、言えるわけない
「新しいバイト決まったの?」
「え…あ~…まだ」
「そうなんだ」
「うん。ごめんな」
「あやまらないでよ~、そんな顔しないで?」
どんな顔してんだろ
情けない顔してんだろな
「まじ、ごめん」
ごめんだなんて
いくら言ったって、言いたりない
ミキは何も悪くないのにな
ごめんな
俺、
約束、守れないかも知れない
もしかしたら、ずっと一緒にいることも出来ないかも知れない
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