第6章 猫耳と轟焦凍
陸くんが相変わらず足を掴んで
離さないでいるとお姉さんの
慌てる声がした。
真っ暗なテレビが鏡のようになっていて
そこに写った私を見ると頭になんか生えてた。
思わず触るとくすぐったくて
身体の一部のような…
「…ごめん…」
お姉さんに差し出された手鏡を見ると
そこには猫耳を生やした私がいた。
「え、なに…これ…」
「これも陸の個性なの………」
「うっそ………」
陸くんの個性は獣化だけだと思っていたが
そうでは無いみたいで良くわからないけど
興奮したり何か切っ掛けがあれば
触れた人も獣にするみたいで…
まだ発動してコントロール出来ないのか
猫耳しか生えていなかった…
…
「陸!謝りなさい!!」
「うっ…ひっく…ご、ごめんなさい…」
「だ、大丈夫、大丈夫〜!
これ時間経ったら治るんでしょ?
だから大丈夫〜!」
正直この猫耳なんか生えた頭を焦凍に
見られるのは恐ろしいが
まだ、時間はある…。それまでに
治ってくれれば大丈夫だろう…。
「ごめんね……
これから用事だったんじゃ…」
「いや、大した事じゃ無いし
まだ時間もあるし大丈夫だよ〜!
心配しないで!ね?
お姉さんも陸くんのこと
あんま怒んないであげて?私大丈夫だから!」
「うん…あ、帰るのにそれじゃ
ちょっとあれでしょ…?良かったら
私の帽子被って行って?」
「ありがと〜!じゃあ陸くん、
今日はごめんね?また今度一緒に
いっぱい遊んで?」
「…うん!」
「じゃあまた!お邪魔しました〜!」
最後陸くんは笑っていたけど
ちょっと落ち込んでいるのを見て
可哀想なことしたかな…って
ちょっと思ったけど
今は自分の心配をしなければ…
効果は早くて30分で消えるらしいが
今まで長くて3時間はそのままだったことが
あるらしい…。
焦凍が来るまであと1時間程…
お願いだから治って!と思いながら
家まで出来るだけ早歩きで帰った。