• テキストサイズ

君の計算を狂わせたい【黒バス/花宮】

第2章 ここはどこだ?(花宮side)



花宮side.



「あ……目、覚めて良かったぁ…………あのっ、さっきはほんとすみませんでしたあ!!」


自分がこの部屋に来た経緯を思い出していると、ふとあの忌々しい女がすぐ傍で頭を下げていることに気づく。


チッ……


思わず舌打ちがでる。


だいたい、ここはどこなんだ。

この女の家であるのは間違いないだろうが、問題はなぜ俺がこんな女の家にいるかってことだ。


イライラが抑えきれない。


目の前の女は目をあっちこっちに移動させ、遠慮ぎみに尋ねてくる。


「あの…………君は誰?」

「あ?」


思わずギロリと睨むと、 女はわたわたと手を振って、


「いや、なんで私の家にいるのかなぁって……」

「…………気づいたらここにいた」

「えっ」

「お前が連れてきたんじゃねぇのか?」

「ち、違うよ! さっきも言ったけど、誘拐とかじゃないからね!!」


そう言って胸を張るその動きがどうにもアホっぽい。

このアホが嘘をついている可能性もあるが……嘘をつく器用さを持っているようにも見えなかった。

だとしたらなんで俺はこんなところに……。


堂々巡りの疑問に終止符を打ったのは、ぐうぅぅう……とマヌケに鳴る腹の音だった。

女と、目が合う。


「…………」

「おい、腹の虫鳴らしてねぇで、なんとか言えよ」

「あれ? 今お腹鳴ったのきみ」

「この家ではお客様に料理も出さねーのか」

「うん、今作るね」


パタパタと遠ざかる足音に、俺は深くため息をつく。


あー、なんかもう全部めんどくせぇ。


部活終わりで身体ダリぃし。

ここどこか分かんねえし。

あの女意味わからんし。


なんか急に全部どうでもよくなってきた。


ガサガサと音の響く方を見やると、女が冷蔵庫の中をなにやらゴソゴソやってる所だった。


なんか飯作ってくれるみてぇだし、

今晩ここに泊まるか。


そうだ、明日は土曜日だし。


そうと決めてしまえば、急に眠気がやってくる。

俺はそこにあったソファーに腰掛けると、ふあっとあくびをした。




/ 50ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp