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君の計算を狂わせたい【黒バス/花宮】

第9章 どうなってやがる(花宮side)



花宮side.



俺は目の前の景色を見て、疑惑を確信に変えつつあった。

古びた商店通りを進んで現れた、これまた年季の入った駅舎を、足を止め見上げる。
 

「おい……」
 
 
誰にかけたともいえない声が、勝手に口からこぼれ落ちた。

ひとり言を呟いて、心を落ち着かせようとしていたのかもしれない。


…………


気づいたら、歩きだしていた。

そんなはずはない、と認めたがらない俺の脳が、動けと命令したらしい。

動いて確認しろ、と。
 

改札前までいき、駅の中をぐるりと見渡す。

それを確認し終わると、俺はついに走り出した。


駅を出て、先ほど通った道の一本隣の通りを駆け抜ける。

こちらの道が本通りのようで、人が多い。

通行人どもが俺を見ているのがわかる。

それでも、スピードは落とさない。

むしろ足は速まった。
 

舌打ちが出る。

こんなの俺の柄じゃねえ。

わかってる、けど、確認しないわけにいかねーだろ。
 

ずっと抱いていた違和感。

その違和感は、どんどん大きくなる。

視界に映る、流れていく景色に、違和感はさらに膨らんでいき、もはや破裂寸前だった。





暑さと興奮からか、少し走っただけなのに、呼吸が荒れる。

立ち止まると、膝に両手をおき、肩で息をする。


先ほど歩いたのと同じだけの距離を走ってきた。

大きく息を吸うのと同時に、顔を上げる。

そこには、赤茶色のレンガ壁のマンションがあった。

 
「はっ……まじかよ」
 

口元がゆがむ。

こめかみを汗がつたう。

かわいた笑いがでた。


 
なんで、おまえみたいなレンガの建物が、我がもの顔でここにいるんだよ。



ここにあるのは、霧崎第一高校のはずだろ。
 


マンションから視線をずらし、ゆっくり振り返ってみると、そこにはいつも校門から見ている景色が広がっていた。

 
「……どういうことだよ、くそっ」
 

俺はどうすることもできず、その場に立ちすくんだ。



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