【イケメン革命】月小屋続編◆返還の祭典【R-18】
第7章 3rd Night【エドガー・ブライト】※R-18
しばらくして、浴室のドアをノックする音がする。
「どうぞ?」
僅かな隙間からバスローブだけが差し出される。
「ごめんね、ありがとう…」
水分を拭き取り、バスローブを羽織って外に出ると、そこにはエドガーがいた。
顔を合わせると一気に恥ずかしさが増してしまう。
「ごっ、ごめんね……お待たせしました」
足早にその場を去ろうとすると、エドガーに腕を掴まれる。
「……っ?!」
エドガーは優しく笑みながら言った。
「……お茶の支度をしておきました。少しゆっくりして待っていて下さい」
リビングには紅茶のいい香りが漂っていた。
(うわぁ……いい香り!)
ベルガモットの爽やかな香りが胸いっぱいに広がる。
ポットに入った飲み頃の紅茶をカップに注ぎ、レイアは一口飲んだ。
(あったかくて……美味しい)
エドガーは悪い人じゃない。
約1年、赤の兵舎で過ごすうちにだんだん分かってきた。
彼は、表面的には分からないが、「全体の利益」を当たり前に考えられる人なのだ。
一見すると、高度ないたずらをしたり、優しくないことをしたりするのだが…それは結果的に全体をまとめることに繋がったりしている。
些細なことにもすぐ気づくし、頭もいい。
でも、だからこそ。
(きっと永遠に、彼は本心を見せてはくれないんだろうなぁ)
考えても仕方のないことが頭をよぎる。
「ふぅ………」
ベルガモットの香りの中でレイアはため息をついた。
その時。
「わっ……!!」
後ろから急に手が伸びてきて
レイアは背後から抱きすくめられた。
「エドガー?!」
「……ため息なんかついて、お口に合いませんでしたか?」
耳元で掠れた声が響く。
「そんなことないよ!す、すごく美味しい!」
「そうですか、それは良かったです」
「…………」
沈黙が流れるが、エドガーは離す気配がなかった。
「エドガー」
「はい?」
「……怒ってるの?」
「…………………何がですか?」
レイアが振り向くように顔を上げると、エドガーの翡翠色の瞳と目が合った。
「さっき動物園で探してくれた時から、なんかエドガー様子がおかしい気がして」
「そんなことありませんよ」
(まただ……)
完璧な笑顔を見せるエドガーをじっと見つめる。