【イケメン革命】月小屋続編◆返還の祭典【R-18】
第6章 DAY3【エドガー・ブライト】
「………全然違う」
ハナから信じていなかったものの、やはり想定外の味が口に広がりレイアはガッカリした顔をする。
「この色でストロベリーとバニラはあり得ませんね」
その顔を見て、エドガーは優しく頭を撫でた。
上目遣いに見上げると、穏やかに笑うエドガーと目が合う。
(あ、またいつもと違う……)
レイアがついぼんやり見とれてしまうと、エドガーは困ったように瞳を揺らした。
「貴女って人は…表情がコロコロ変わると思えば急に見つめてきたりして…本当に変わってますね」
「え?…………あ、ごめん」
「そんなにぼーっとしてると…『頂いちゃいます』よ」
「えっ?!」
言葉の意味を問いかける隙もなくエドガーは、レイアの手を掴んだ。
急に手を掴まれ心臓がどきりと音を立てる。
手が軽く引き寄せられ、身体が触れ合い顔が近づく。
(きゃっ………)
反射的にレイアは目を閉じるが、何も起きない。
(えっ………)
恐る恐る目を開けると、欠けたチョコレートジェラートがそこにあるだけだった。
(なんだ、ジェラートのことね)
「…って、ちょっとエドガー!これ食べ過ぎ!」
かなり欠けているジェラートを見てレイアは不満げに言った。
「ふふ……すみません。レイアが目を閉じてるのでバレないかなと思ってしまいました」
「これだけ食べたらバレバレでしょ」
「だったら……目を閉じて『別のこと』期待してちゃダメですよ?」
「…ち、ちが…っ!」
恥ずかしい勘違いをしていたことすら見透かされ、レイアの顔が真っ赤になる。
レイアは無言のまま食べ終えると、すっと立ち上がった。
「どこか行かれるんですか?」
「お手洗い!……すぐ戻るから待ってて」
どこか拗ねたような物言いに、エドガーはにこにこしながら手を振って見送った。
ところが、20分以上経ってもレイアは戻ってこなかった。
(さすがに遅いですね)
エドガーは立ち上がり、賑わう人混みを抜け化粧室へと向かった。
ところがそこには「清掃中」の看板がある。
「すみません、この近くに他にお手洗いはありますか?」
エドガーは中にいる清掃員に声をかけた。
「すみません、ここ一箇所しかないんです、もうすぐ終わりますから」