【イケメン革命】月小屋続編◆返還の祭典【R-18】
第2章 DAY1 【ランスロット・キングスレー】
「じゃあ行こっか」
レイアは男の子の手を取り歩き出した。
「あの……」
すると、男の子がランスロットに手を差し出す。
「お兄ちゃんも、手、つなご?」
ランスロットは一瞬戸惑ったような顔をしたが、黙ってその小さな手を取った。
「ありがとう。いつもね、お母さんとお父さんと一緒に手つなぐんだ」
「…そうなんだね」
こうして
多少のぎこちなさを含みながらも、レイアは迷子の男の子を挟んでランスロットと3人、並んで街へと歩き出したのだった。
風船、というキーワードだけではなかなか難しく、とりあえずレイアたちは雑貨や洋服、おもちゃを取り扱う店が並ぶ通りにやってきた。
「この辺りに見覚えあるかな?」
「わかんないけど…なんか違うと思う……」
「そっかぁ…何か思い出したら教えてね」
(手がかりが少ないなぁ)
辺りを注意深く見ながら歩いているその時だった。
「……ランスロット様?」
背後から呼び止める声がする。
「ゼロ!」
一同が後ろを振り返ると、そこにはゼロが立っていた。
ゼロはランスロットとレイアが子どもを挟んで手をつないでいる奇妙な光景にしばし呆然としていた。
「見回りか」
ランスロットの問いにはっとなったゼロはうなづく。
「ランスロット様こそどうされたんですか…今日はアリスと過ごす予定のはずでは」
「過ごしているのだが……迷子がいてな」
ゼロが視線を落とすと、男の子はぴくんと震えて握り締めた手に力をこめる。
「大丈夫だよ、ゼロは優しいお兄さんだから」
レイアがなだめるように言う。
ゼロはしゃがみこんで、男の子と目線を合わせた。
「お母さんとはぐれたのか」
「……う、うん…」
「そうか…これをやろう」
そう言うと、ゼロは胸ポケットから赤い棒つきキャンディを取り出すと男の子へ差し出した。
「いいの?」
「もちろんだ」
「……ありがとう!」
男の子は満面の笑みを浮かべる。
「ところでゼロ…この辺で風船を売っているお店って知らない?」