【イケメン革命】月小屋続編◆返還の祭典【R-18】
第2章 DAY1 【ランスロット・キングスレー】
レイアの問いかけにゼロは立ち上がる。
「売っている店は知らないが、今日は市場通りのマーケットが売り出しで風船を配っていたぞ」
レイアとランスロットは目を合わせうなづき合う。
「……それだ!ありがとう、ゼロ!」
市場通りのマーケットは売り出しセール中なのか、たくさんの人でごったがえしており、店頭では色とりどりの風船が配られていた。
「すごい人だね…見つかるかな」
男の子とつないでいる手に力を込めて、レイアは視線をさまよわせる。
「……」
するとランスロットが男の子から手を離し、後ろから抱きかかえて肩車をした。
「わぁ!!高い!高い!!」
「ラ、ランスロット様…大丈夫ですか?!」
あまりに意外すぎる行動にレイアは慌てる。
「問題ない……しっかりつかまっていろ」
はしゃぐ男の子をたしなめるように言いながら、ランスロットは人ごみを歩いていった。
(ランスロット様って…意外と子ども好きなのかな……)
「おい、アリス」
ぼーっと背中を見ていたレイアははっとする。
「あ、はい!」
「お前まで迷子になりたいか」
「あ、いえ!」
ランスロットの手が差し出される。
(あ……)
レイアはそっとランスロットの手を取り、マーケットの人ごみを歩いていった。
しばらくたつと、男の子は母親を発見し、無事会わせることができた。
母親はランスロットの姿を見るや驚き深々と頭を下げていた。
「ありがとう、お兄ちゃんお姉ちゃん!またね!!」
男の子は嬉しそうに手を振っていた。
「………さて」
日も傾きだし、道行く人もまばらになりはじめていた。
多くの人たちが帰路についているのだろう。そんな様子が伺える。
「俺たちもそろそろ行くか……良いか?アリス」
そこで初めてレイアは
本当の儀式がこれからだということを実感する。
「はい……」
(ここで不安な顔したら失礼だよね)
そうは思いつつも本心は不安の方が大きいためか、曖昧な表情のままレイアはうなづく。
「安心しろ」
ランスロットは再びレイアの手を取った。
「今宵はお前に不安を感じる隙など1秒たりともやらん」
蟲惑的な笑みが夕日に照らされていた。