【イケメン革命】月小屋続編◆返還の祭典【R-18】
第2章 DAY1 【ランスロット・キングスレー】
会議が終わり、官僚たちに見送られてレイアとランスロットは公会堂を後にした。
「さて」
魔宝石のきらめく噴水前。
ランスロットが改めて向き直る。
「……お前の行きたい場所へ行こう。どこへ行きたいのだ、アリス」
「私が行きたい場所ですか?えっと…」
(会議中考えてはいたんだけど…ランスロット様を月並みのデートに付き合わせてしまっていいのかな……)
レイアが言いよどんでいると…
グゥーーッ。
(ちょ……ヤダっ!どうしてこのタイミングで!!)
ばつの悪そうな顔でレイアが見上げると、ランスロットは一瞬おかしそうに笑っていたが、すぐ無表情ないつもの顔に変えた。
「………とりあえず腹ごしらえに行くか」
「ランスロット様、今笑ってましたよね」
「笑ってなどいない」
「見ましたよ、笑ってました」
先を歩くランスロットは振り返らずに答える。
「……年頃の女性の腹の虫を聞いて笑うなどという無礼な行為をこの俺がするとでも?」
(その言い方はずるい……)
レイアは歩みを速めてランスロットに並ぶと、顔を見上げずに言う。
「……先日オープンしたカフェに付き合ってくださいっ」
ランスロットはふっ、と笑みをこぼす。
「よかろう」
そして、ぽん、とレイアの頭を撫でた。
新しくできたカフェには既に一度だけカフェタイムにヨナと訪れていたのだが、
ランチメニューも気になっていたレイアは念願かなってチーズたっぷりのトマトベースのパスタを食べることができた。
その後は、メイン通りの雑貨屋や洋品店を覗いて回った。
以前に比べて少しだけ穏やかな印象になったランスロットは、かつて「獣」と呼ばれていたとは思えないような笑みを見せることが多くなった。
きっとこれが本来の彼の姿なのだろう
レイアはそう思いながら、セントラル地区を二人で歩いた。
しばらく歩いた後、露店でジェラートを買い、二人は公園のベンチで休むことにした。
「このようなものを買って外で食べるのは初めてだ」
「えっ、そうなんですか?」
(さすがこういうところはキングらしいなぁ)
淡々とミルクジェラートを食べ進めるランスロットの横顔が妙に新鮮に感じる。