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【YOI・男主人公】小話集【短編オムニバス】

第1章 僕と勇利、時々『デコ』


『喧嘩するほどの、僕ら』


「ええか!僕はお前の専任通訳でも何でもないんやで!?」
「だって、俺の通訳スタッフよりもお前の方がニュアンス伝えやすいだろ?今はプライベートだし」
「何で僕がお前の為なんかに…!」
「あの…お客様?」
とあるショッピングセンターのアパレルショップで、ヴィクトルの買い物に付き合わされた純が癇癪を起こしていた。
「何だかんだ言って、純って律儀にヴィクトルに付き合ってあげてるよね」
「うん。2人共お互い僕と一緒にいる時よりも本音言い合ってるし」
「コレ、アレだよね。『喧嘩するほど仲が良い』ってヤツ」
そんな純達の様子を、少し離れた所で勇利とピチットが面白そうに眺めていると、肩を怒らせながら純が店を出てくる。
「勇利もピチットくんも誤解せんといてくれるか?僕は、デコがあんまりしつこいから、仕方なく折れてやってるだけや」
そう言いつつも、ヴィクトルが買った大量の袋を半分持っている純に、勇利とピチットは笑みを零す。
「勇利達こそデトロイト時代部屋も一緒やったそうやけど、喧嘩とかしいひんかったん?」
「うーん、たまにちょっと言い合いしたくらいかなあ?」
「お国柄もあると思うけど、僕が怒っててもピチットくんが『何で怒ってるの?』って心底不思議そうに尋ねてくるから、その内にバカバカしくなってきちゃってね」
「僕からしたら、他人の心情読もうとする日本人の方が不思議だよ。でも、長年一緒に競技して気心知れてるし、純とヴィクトルみたいな派手な喧嘩はしないかなあ」
「せやから違う言うてるやろ」

「ピチットくん!僕を買い物に誘ったのって、最初からコレが目的だったんでしょう!?」
「だって、折角日本に来たんだし。このモル●ーグッズ欲しかったんだもん!」
「バンコクなら、ジャパニメーションやオタクグッズのお店いっぱいあるじゃない!」
「この●ルカーは基本日本限定だからあっても割高だし、購入個数制限あるんだよ。だからお願い、2種類欲しいから勇利も一緒に買って!」
「やはり、人間は愚かー!」

「お前達も、ヒトの事言えないよ」
「ホンマにな」
勇利を強引にアニメショップへ連行するピチットを見ながら、息の揃ったヴィクトルと純は率直な感想を漏らした。
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