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【YOI・男主人公】小話集【短編オムニバス】

第4章 番外篇・僕と『ヒゲ』


『ある種の1stインパクト・2』

純は藤枝の視線に我に返ると、乱暴な仕草で無理矢理涙を引っ込める。
「…すみません、みっともないトコ見せました。また明日からよろしゅうお願いします」
言いながら手早く荷物を纏めた純は、藤枝の横を通り抜けようとしたが、藤枝の力強い手によって引き戻された。
「何ですか、僕急いで…!?」
「──泣け」
そのまま藤枝に抱き寄せられる形になった純は、目を見開く。
「ずっと一緒にいて可愛がってたんだろ?ペットとはいえ、家族同然の存在がいなくなって哀しくない奴はいねぇ」
「…」
「お前は故障前からいつも感情抑えて、どっかええかっこしいな所があったからな。今、ここにはコーチの俺しかいねぇ。他には誰も見てねぇ。だから、天国逝ったそいつの為にもしっかり泣いとけ」
「ぅ…うぅ…」
藤枝に優しく背を叩かれた純は、瞬間ひぐ、と息を呑むとそのままあられもない声を上げて号泣した。
そんな純の身体を支えながら、藤枝は、自分の中で彼に対する認識が変わっていくのを、何処か奇妙に感じていたのである。


「今だから言えるけどよ。多分あの時からお前の事が気になり出したんだな。お前の泣き声聞きながら、微妙にあっちも反応してたし」
「…ヒトの泣き顔に欲情してた、てどんだけ変態やねん!」
「お前、知らねぇのか?泣き顔とイキ顔は良く似てるって。さっきまで俺に抱かれて喘いでたお前見て、あの時思い出したからな」
否や、顔を真っ赤にさせて絶句した純があまりにも可愛らしいと感じながら、藤枝は、弱々しく抵抗を試みる純の裸体を再びシーツの上に縫い付けると、そのまま唇を重ねた。
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