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【YOI・男主人公】小話集【短編オムニバス】

第3章 僕と「はじめまして」や、その他諸々。


『俺の好きな青』


陽光を浴びて輝く水面と海から吹く風が、暫し真夏の猛暑を忘れされてくれる。
「ふっふっふ。今ユリは、僕と2人きりで海の上だよ。助けを呼んでも誰も来ないからね?…なーんて、東京湾内ならまずスマホが繋がらないって事はないんだけど」
そんな風におどけてみせる礼之と一緒に、ユーリはアイスショーの合間に東京湾内のランチクルージングを楽しんでいた。
「本当は、ムード満点のディナークルーズとかも考えたんだけど、ちょっと僕的に予算が厳しかったのと、もしも誰かに見つかって色々詮索されたら、ユリにも迷惑かかるかなって」
「俺、充分楽しんでるぞ?こんな風に東京の海を眺めるのも良いもんだな」
「もうちょっとオトナの男に成長してから、改めてディナーにも誘うからね」
そんな風に笑う礼之の青い瞳は、ユーリの心を優しく揺さぶってくる。
この年下の恋人は、変に背伸びはしない分、自分の出来る範囲でいつもユーリの事を喜ばせようとしてくれる。
ちょっと頑固な所もあるが、スケート同様真っ直ぐな心根の礼之は、『青い瞳のサムライ』という彼の仇名を見事なまでに体現しているとユーリは考えていた。
そんな彼とこれからも競技者同士として、そして恋人同士としても高め合っていきたい。
礼之の青く澄んだ瞳に見つめられると、自然とユーリの中でそのような気持ちが溢れてくるのだった。

「ここの食事、ランチも凄く美味しいって純さんも言ってたから、期待して良いよ」
「サユリも来た事あるんだな」
「何せ勝生さんを筆頭に、日本のフィギュア男子はみんな食いしん坊だから。僕もオフもシーズン中も、できるだけ楽しく美味しく味わっていきたいんだ」
無邪気に笑いながら、礼之はユーリの手を引いてデッキから船内のレストランへと移動しようとする。
「お天気で良かったね」
「ああ。凄ぇ青空と青い海だ。でも…俺は、お前の瞳の青が一番好きだけどな」
たまにはリップサービスもしてやろうという体で、ユーリは照れ隠しにこっそりと本音を呟いたが、直後礼之の顔が真っ赤に染まるのを見て、愉快そうに笑った。
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