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【アイナナ】シルエット・デイズ

第1章 寝起きとアイドル


「俺、ミックスフルーツが良い。」と、真っ先に目的の物を取った環に対し

「私は特にこだわりはありません、七瀬さんお先にどうぞ。」
「えぇ、なんだか一織の方が年下なのに申し訳ないなぁ。遠慮せずに選んで良いんだよ?」
「私は残ったもので良いと言ってるんです。早く選んでください。」
「じゃあ、ももにしようかなぁ。でも、ブルーベリーも捨て難いなぁ...」
「では、私は残りのいちご味をもらっておきますね。」
そう言って、一織がいちご味を取ろうとした瞬間
「やっぱりいちごがいい!」と陸が突然声をあげ、いちご味を手に取った。
「あ...」と、一織の表情が明らかにショックを受けているものに変わったのを私は見逃さなかった。どうやら、私以外は気づいていないらしく「どうしたの一織。食べないの?」とキョトンとする陸に対し「食べますよ、では私はブルーベリー味をもらいますね。と言ってブルーベリー味を手に取った。

「(一織くん、いちご味が食べたかったんだろうな...)」
そんな事を考えていると、「陽菜乃さん、桃味が残ったからこれで良い?」と壮五の声が聞こえてきて我に返った。

「あっ...うん。良いよ!私スプーン取ってくるね。」

そう言って席を立ち上がろうとする。
すると、「俺、取ってきてやんよ。」と言って環が席を立ち上がり食器棚の方に歩いて行った。

隣から異様な空気を感じ目線を向けると、壮五が環を見て何故か目を輝かせている。
スプーンを取った環が戻ってくると、すかさず壮五が声をあげた。

「すごいじゃないか環くん!自らスプーンを取りに行ってくれたんだね!」
「おう、そーちゃんがいっつも『目上の人には特に礼儀正しくするんだよ。』って言ってたから、礼儀正しくしてみた。」

礼儀正しい、とは少しちがうような気もする。
しかし、隣の壮五はそんな事が気にならないほど感激しているようだ。

「これからも頑張ろうね、環くん」「おう」とやりとりする二人を見て、なんだか自然と笑いがこぼれた。
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