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【アイナナ】シルエット・デイズ

第3章 アイドルとマネージャー


しばらくして、ようやく作業をひと段落終えた私は陸が座るソファの隣に腰掛けた。
「お待たせ。」
そう声をかけると、「あ、お疲れ様。」と柔らかい笑みをこちらに向けた。
「えっと、小さいパフェとかクレープとか。杏仁豆腐とプリンもあるよ。」
陸が袋から様々な種類のスイーツを取り出しては、机の上に並べていく。正直に言うと、一人や二人で食べきれる量ではない。
「...陸さん?」
「ん?」
「あの、この量を二人でってのは...ちょっと。」
私が恐る恐る陸の顔を覗き込むと、陸は笑顔を崩すことなくこう言った。
「あ、えーと。これ、メンバーとかマネージャーにもって思って買ってきたんだ。陽菜乃には、1番に選んでほしくて。」
照れること無くそう言う事をサラッと言えるのがアイドルなら、ものすごい職業だと私は思った。自分の立場が無かったら、少しときめいていたかもしれない。
「そうなんだ!なんだか嬉しい、陸さんが1番に私を選んでくれて。」
「喜んでもらえて良かった!好きなの選んでて!俺、一織も呼んでくる!」
そういうと、陸はソファから立ち上がり走り去って行ってしまった。本人抜きで選んでいて良いのだろうか?
すると、ちょうど帰ってきたらしいMEZZO*の二人が部屋に入ってきた。
「おかえりなさい。お疲れ様です。」
「あっ...陽菜乃さんも、お疲れ様です。」
「...おつかれ。」
2人は私を見て一瞬固まったが、何か付いていたのだろうか。まだ何も食べてないし、気にしなかったことにしよう。
「ヒナ、何食べてんの。」
環が私の手元を覗き込む。
「あ、これ陸さんがみんなにって。」
「そうなんだ、じゃあ僕達も陸くんに聞いて後でもらおうかな。」
そう言って微笑む壮五に対し
「ヒナのそれ、美味そう。」と、私の持っているパフェをじっと見つめていた。
「あ、これが良い?じゃあ私は他のを...」
「良い。それ、一口ちょーだい。」
「え。」
「今スプーンてすくってるそれ、ちょーだい。」
「じゃ、じゃあ....はい。」
私は口を開く環にスプーンを持っていく。彼はちいさなその一口を口に入れるとすぐに飲み込み口を開いた。
「ん、甘かった。ありがと。」
それだけ言うと、部屋を出て行った。
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