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【アイナナ】シルエット・デイズ

第1章 寝起きとアイドル


「環、ありがとう!」
「ありがとうございます。」と、他の二人も環にお礼を言ってヨーグルトを口にする。
環も「おう」と短く返事を返しヨーグルトのフタを開けていた。

私はと言うと、環から受け取ったスプーンでヨーグルトをすくうとそのまま壮五の口元に持って行った。
「はい、壮五さんどうぞ?」
無意識に、何の気もなしに私がそう言って壮五の顔色を伺うと彼は真っ赤な顔をして激しく首を横に振っていた。

「えっ!?いや、僕の分のスプーンもあるから大丈夫だよ!」

彼の発言でようやく気づいた、私はひとりのアイドルに所謂「あーん」をしようとしている。いくら付き合いが短くないとは言えど、考えがなかった。

「あ、そうか」
確かに、子供どころか、立派な成人男性にする行動ではないな。とまずは心の中で反省した。
すると環が「そーちゃん真っ赤。」と壮五を指差しそう言った。
「た、環くん...!!」
環の素直すぎる発言に、壮五が俯いてしまう。
「ごめんね壮五さん!私の考えがなかったから...!!」
「だ、大丈夫だよ。とにかく、陽菜乃さんはそのスプーンで気にせず食べて。」
「わ、分かった!」
指摘されるまで全く意識していなかった自分も自分だが、いざあからさまに意識されてしまうとこちらも恥ずかしくなる。
私は壮五にすくったヨーグルトを自分の口に持って行き口に含んだ。
口の中に広がる甘みにすら、少し恥ずかしくなってしまい黙り込みそのまま黙々と食べ続けた。


「...良いなぁ」


そう言った陸の言葉はあまりにも小さく、私達に聞こえることはなかった。
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