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【アイナナ】シルエット・デイズ

第3章 アイドルとマネージャー


ようやく今日1日のスケジュールをこなし、控え室を出る。今日はMEZZO*での仕事がメインだった為、1日の半分以上を環くんと過ごしていたことになる。
テレビ局のフロント、入口がよく見えるソファに腰掛け帰りの車を2人で待つ。
しばらくの沈黙の後、不意に環くんが口を開いた。
「そーちゃん。」
「ん?どうしたんだい、環くん。」
「結局そーちゃんは、ヒナの事好きなの?」
「たっ...環くん...」
「なんか、りっくんもいおりんもヤマさんもみっきーも...みんなヒナを見る目とマネージャーを見る目がちがう」
「...どうして、そう思うんだい?」
「よく分かんねーけど、そんな感じがする。」
環くんは、鈍いようでいてとても鋭い。彼の言う事は曖昧だけど、間違ってはいないんだろう。自分はアイドルで、彼女はマネージャーだと言う事を分かっている僕は自分の彼女見る目がどんな目をしているのか知りたくない。
「環くんは、陽菜乃さんの事は好き?」
「好き。」
「じゃあきっと、僕達はみんなその気持ちと同じなんだと思うよ。」
「じゃあみんな、ヒナと恋人になりてーの?」
「....へ?」
全く予想していなかった言葉が返ってきて、思わず大きな声が出てしまった。
環くんは今、何て言った?恋人?誰と?陽菜乃さんと?
環くんのポーカーフェイスには慣れていたつもりでいた。というか、環くんはこう言った恋愛沙汰に興味がないと思っていた....。
「だから、みんなヒナと恋人になりてーの?」
僕が聴こえていないと捉えたらしい彼は、さっきよりも声を大きくする。
「き、聞こえてるから声抑えて...」と言うと、「じゃあどうなんだよ。」と少し不機嫌そうに返してくる。
どうと言われても困る。情けないけど、パニックになってしまって上手い返しが思い浮かばない。
どうしよう....

その時、「環さん!壮五さん!お待たせしました!」と自分たちを呼ぶ声が聞こえた。
「そーちゃん。マネージャー迎えにきた。」
「うん。待たせちゃ悪いし、帰ろうか。」
「....おう」

僕は何とか難を逃れ、マネージャーが運転する車に乗り込んだ。
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