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【YOI】『少年』の最期【男主&ユーリ】

第1章 しっぺ返しは突然に。


「私からは以上です。他のプロを滑るのであれば、それは好きになさい」
「リリア!」
「今の貴方では、情に絆されてユーリを甘やかしかねないわ。これは、今後シニア選手として戦う彼の為でもあるのよ」
何処か慌てたようなヤコフの呼びかけにリリアは小声で返すと、ユーリに退室を促す。
半ば部屋から追い出されたユーリは、余りの事に暫し微動だにできなかったが、
「…ケッ。元々俺は、ババアのEXには不満だったんだよ。こうなりゃもっかいオタベックに頼んで…」
言いながら、昨シーズンのGPFが切欠で友人となったカザフスタンのオタベック・アルティンに連絡を取ろうとスマホを操作した。
GPFのEX同様、彼の協力を仰ごうとしたのだが、返ってきたのは「すまないが、その日はカナダへ新しいプログラム作りに出かけているから付き合えない」という無情な返事だった。
頼みの綱であるオタベックからもNGを出されてしまったユーリは、今度こそ途方に暮れてしまう。
「どうすりゃいいんだ…ジュニア時代のEXなんてガキっぽくて無理だし、かといってあのEXはオタベックがいねぇと…」
件のアイスショーまでは10日もない。
今から新しいEXのプログラムを作るといっても、誰か協力してくれる人がいないと到底出来そうにないし、ユーリ達ロシア国内だけでなく、勇利をはじめ海外の主力選手やプロスケーター達も招待されているショーなので、幾らオフでもいい加減な演技をする訳にはいかないのだ。
「無様な真似して、去年の事がまぐれだなんて言われんのはゴメンだし…だけど、他に方法なんて…」
頭の中で色々考えを巡らせながら施設内を歩いていたユーリは、ふとリンクから馴染みのある賑やかな声を耳にした。
「何かジャンプの数少なすぎない?」
「どうせあんたの作るSPやFSで、アホのようにジャンプ入れとんのやろ?僕の作るEXのテーマはフィギュアの原点回帰や。曲もそれっぽいの選んだし、勇利ならきっと素敵に滑ってくれる♪これも、スケーター勝生勇利の魅力を引き出す一手や」
「でもコレ、コンパル入れつつステップその他諸々で結構鬼要素だよね…」
休暇を利用して日本から来ていた上林純という男が、リンクの上で勇利やヴィクトルと談笑しているのを見たユーリは、天の助けとばかりにリンクまで駆け出すと、彼に向かって呼びかけた。
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