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【YOI】『少年』の最期【男主&ユーリ】

第2章 今までの君と、これからの君。


リハーサルを済ませたユーリは、明日のショー成功祈願も兼ねて皆で夕食を取った後、純がスマホで依頼した配車で自分の部屋に戻った。
「ほんならな。あんまり夜更かししたらあかんで」
「ああ。サユリも気をつけて帰れよ」
「おやすみ、ユリオ。純は、僕達が送るから心配しないで」
「どうせ明日も一緒なんだから、俺達の家のゲストルームに泊まればいいのに」
「本番前に、僕をバカップルオーラで精神的に殺しにかかるのは、後生やからやめてくれ」
ピーテル滞在中、純は現在日本に一時帰国している知人の部屋を、期間限定で間借りしていた。
入居前に大家の所へ出向き日本から持参した地酒と菓子で印象を良くしていたのもあり、そこそこ快適な独り暮らしを満喫してるという。

部屋に戻ったユーリは、入浴とストレッチを済ませた後で、ふとスマホの時刻を確認した。
暫し眉根を寄せていたが、思い切ってとある番号へ電話をかけると、僅かに緊張した面持ちで相手の反応を待つ。
『ユーリか』
「オ、オタベック。今いいか?」
スピーカーから聴こえてきた声に、ユーリは柄にもなく上ずった声を出す。
『こちらは、休憩中だ。ロシアは夜だろう。明日はアイスショー本番なのだから、休まなくて良いのか?』
ロシアと約7時間時差のあるカナダで、新しいシーズン用のプログラムを作っているオタベックは、リンク横の時計を見ながらユーリに尋ねた。
「少しなら平気だ。本番の前に、お前に言いたい事があってさ」
『何だ?』
「あのよ、今まで…悪かったな」
聴こえてきた謝罪に、オタベックは思わず瞳孔を開く。
「…去年のGPFで優勝逃して、お前だって悔しくない筈ねぇのに、俺の我侭に付き合わせて…あの時のお前の気持ちも何も考えねぇで勝手な事ばっか…本当、悪ぃ」
『…急にどうしたんだ?』
「ここ数日で、思い知らされたんだ。今までの俺は本当にどうしようもねぇガキで、大目に見て貰ってただけって事。でも、いつまでもそんなんじゃダメだ。お前やカツ丼達と真の意味で対等になる為にも。だから…その決意を、一番にお前に聞いて欲しかった。散々な真似しでかしてきた俺を、未だ友達だと思ってくれるのなら…」
一息に言った後で、ユーリは目をギュッと閉じる。
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