第11章 ☆彡.。そういう時男は黙って赤飯
近藤が田舎で剣術道場をやっていた頃
巷を騒がすとんでもなく喧嘩の強いワルガキがいて
近隣の道場に片っ端から喧嘩売って回っていた。
そうこうしているうちに、怒った道場の者達が大勢でワルガキをしばきに行った。
そいつはなかなか肝の太い野郎で、
大人数に物怖じひとつせず、たった一人で多勢相手に大立ち回りを始めたが
所詮多勢に無勢、最後はボロボロになったその男を
近藤は道場に連れて帰った。
皆が稽古する中、そいつは練習に参加するでもなく、いつも道場の縁側に座り、噛み付きそうな目で見ていた。
当時、太くて重い丸太を何百回も振るという基礎練習をしていたが、近藤の手は血豆だらけになり、よく愚痴をこぼしていたし、
総悟はよくズルをしていた。
土方「興味ねーな、丸太振って強くなれりゃワケねーんだよ」
と。
だがある日、姿を消した土方を心配して
探し歩いていた近藤が見たものは、土方をかくまったことに激怒した他の道場の者が
近藤道場に殴りこみに行くのを制して戦う土方の姿だった。
土方は、以前より強くなっていた。
以前にはない動きの骨格が出来ていて…
見ていた近藤は思わず土方に加勢していた。
気がつけばまわりは血の海で、立っていたのは、近藤と土方の二人だけだった。
土方「なんでいるんだ、お前…」
近藤「またいつでも遊びにこい。
もうお前はウチの門弟だ。血豆が、その印だ。」
土方「血豆じゃねぇ、四越デパートの自動ドアにはさまった」
とだけ答えた。
北大路と土方の戦いは続いていた。
近藤「誰にも努力してねーなんて言わせねぇ。
柳生の華麗な剣に比べりゃ無骨な野刀かもしれねぇが
研ぎ澄まされた奴の剣は鉄をも切り裂く!」
近藤「トシ、また派手にやられたもんだな」
土方「これは奴にやられたんじゃねー、
間留井デパートの自動ドアに挟まった
おいタバコ寄越せ」
と言ってタバコをふかせた。
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