第15章 秀徳 対 誠凛
縁side
あああぁぁぁ…どうしよう…。
敬語一回につきキス一回なんて…。
体育館につき、試合開始を待っている間、私は手すりに体を投げ出し、干した洗濯物状態だった。
蒼「ゆ、縁?しっかりしなって…。あんなの冗談だよ」
縁「多分…てか絶対本気…」
蒼「………汗)」
緑「責任は自分でとれよ。高尾」
高「………あはは」
蒼「で、でも、敬語を使わなければ(絶対ムリだと思うけど)いいんだよ。どもっても敬語さえ使わなければ」
縁「どうせムリだとか思ってるでしょ」
蒼「う(図星)」
縁「はぁぁぁぁぁ」
蒼「高尾君!!どうしてくれるんですか!!あのモード入っちゃったら自力で回復するまでなにもできないんですよ!!」
緑「…フン。人事を尽くさないからだ」
高「それカンケーなくね!?」
キス…か。なんだろう。恥ずかしい。恥ずかしいけど…。ちょっと…嬉しい?
体を起こして、言い合う3人に笑顔で声をかけた。
縁「大丈夫です。いい訓練になるから、逆に好都合ですよ」
今までだったらこんなこと言わない。
彼だから。和成君だからできるんだ。
蒼「縁…!?」
どうしたの、とでも言いたそうな蒼依をよそに、私はコートに目を移した。
縁「もう時間です。始まりますよ、試合」
記録用紙と筆記用具を準備していると、高尾君が隣にきた。
高「……」
縁「…キスなんかさせないからね。和成君」
高「それはどうかな?」
和成君は私の肩に手を回して引き寄せた。
いつもなら、肩を抱かれたりなんかしたら失神ものだけど、今は不思議と平気だった。
私、本当に和成君が好きなんだな。