第12章 蒼依の実力
視点がコロコロ変わります。
蒼依side
2本先取の1on1。先攻は私だった。
私はバウンドしながら左右を見る。緑間君は両手を広げて守っている。体格差からいうと、私が緑間君を抜くのは無理だ。
私は後ろにボールを打った。
緑間side
蒼依は左右を見ている。
さあ、どう来る?右か左か。
蒼依は後ろにボールを打った。
なっ!想定外なのだよ。オレは蒼依の右側から後ろにまわり、ボールを取ろうとした。
蒼依side
引っかかった!
私は後ろにやったボールをそのまま左に持ってきて、緑間君を抜いた。
高尾side
マジかよ!?後ろにバウンドさせたボールの軌道を読んで、真ちゃんがボールを取ろうと後ろに回ったその一瞬を利用したっていうのかよ!!なんつー巧妙なフェイクだよ…。あれ?
緑間side
なっ!!抜かれただと?バカなっ!だが、まだチャンスはあるのだよ!!
オレは蒼依を追った。
蒼依side
流石はキセキの世代。切り返しが速い。もう追いつかれそう。
シュートは苦手なんだけど…。チラッとゴールとの距離を見た。
8.7m。これなら、行ける!!
シュッ…
ガンックルクルクルクル
ゴールの金具部分をボールが回る。8.7m分の力調節はした。
あとは、角度と運だ。
クルクルクルクル…カタン
ボールは、かろうじてゴールに落ちた。
緑間side
バカな…。オレが、先制点を許すなど…。
高尾side
すげぇ…真ちゃん相手に先制点?けど、蒼依ちゃん、なんで瞬足使わねーんだ?あれ使えば…
縁「蒼依は使わないんじゃないです。使えないんです」
縁ちゃん、いつのまに!?てか、
高「使えない……?なんで?」
縁「ボールをドリブルすることができなくなるからです。実際、蒼依は脚力を、ジャンプするときにしか使いません」
高「なるほどね…」