第10章 んじゃ、そういう肩書きで
by蒼依
一方こちら緑間達
緑間side
高尾に先に行くように言われ、オレ達は教室に向かっていた。
オレも蒼依も、何も言わなかった。鉛のように重い空気。
突如、蒼依が静寂を破り、呟くように話しかけてきた。
蒼「…助けてくれてありがとうございました」
緑「…別に礼を言われるようなことはしていないのだよ」
顔を合わせずに答える。
蒼「あの、もしかして、会話聞いていましたか?」
緑「……っ//」
思い出すと、つい焦ってしまうのだよ。だが嘘をつく必要はないな。
緑「ああ、聞いていたのだよ」
蒼「…そう、ですか//」
緑「なにが言いたい?」
蒼「私の気持ち、気付かれちゃいましたね」
っ!//////
緑「なんの、話だ」
蒼「えっ!?」
緑「オレは、推測しか聞いていない。蒼依からは何も聞いていないのだよ」
照れ隠しにそう言った。
初め、蒼依は理解できなかったらしい。しかし、すぐに意味を理解し、頬を赤く染め、言った。
蒼「意地悪…ですね」
そしてオレの正面に立ち、小さいが凛とした声で、切り出した。
蒼「1度だけ言います。今度は聞き逃さないでくださいよ。
私、緑間君が好きです。君さえ良ければ付き合ってください」
オレは、顔を逸らし、呟いた。
緑「…断るわけがないのだよ…」
蒼依は聞き逃さず、喜びに溢れた笑顔を見せた。
蒼「よろしくお願いしますね」