第10章 んじゃ、そういう肩書きで
by蒼依
縁side
蒼依…、なんであんなことしたんだろ。
たまたまとはいえ、持っていたサッカーボールのキーホルダーを緑間君にあげるなんて。
高尾君なら、わかるかな。
数学の時間に、こっそり私はノートの切れ端に、高尾君宛てのメッセージを書き、高尾君に見せる。
《蒼依、緑間君をどう思っているんでしょうか》
返事はすぐ来た。
《いやいや、わかろうよ、そいつは。……好きだね、お互いに》
好き………?
ほ、本当に!?
てかなぜわかるの!?
スッ
《鈍感だなぁ、ま、そんなとこも好きだけど》
なっ//
《そ、そんなことさらりと爽やかに言わないでくださいっ/////》
緑間side
与えられた問題をすべて解き、やることがなくなると、オレはまたポケットに手を入れた。
チャラリ
今朝、蒼依に譲られたキーホルダーだ。
蒼依はなぜこれをオレに譲ってきたのだろうか。
チラッと蒼依を見る。
蒼依は、問題に取り組んでいた。
すると、後ろにいた男子が、蒼依になにやらメモを渡した。
蒼依はメモを読むと、さっと顔を曇らせた。
一体何が書いてあったのだよ。
オレはそれが気になって、その時間はあまり集中できなかった。