第10章 んじゃ、そういう肩書きで
by蒼依
蒼依ちゃんは、すっとオレに顔を寄せて、尋ねてきた。
蒼「な、なんだか緑間君、不機嫌ですね…。なにかあったんですか?」
高「ん~、多分ラッキーアイテムが手に入らなかったんだと思うぜ、オレとしては」
蒼「え、ラッキーアイテム?おは朝の?」
高「あ~、多分な」
緑「ベラベラとうるさいのだよ、高尾!!」
ひー、キレてる~。
縁ちゃんも引いてるよ…。キレてる真ちゃんには手をつけられない。
蒼「あの…緑間君何座ですか?」
蒼依ちゃん!?死ぬ気ッスか!?
緑「……蟹座なのだよ」
蒼依ちゃん、何するつもりなんだろ。縁ちゃんに聞いてみたけど、
縁「私にもさっぱり…」
だって。
蒼依ちゃんは、笑った。
蒼「私と同じですね。あ、そうだ」
蒼依ちゃんはなにか思い出したみたい。しきりにバッグをあさっていた。そしてなにかを引っ張り出して、真ちゃんに差し出した。
蒼「どうぞ」
蒼依ちゃんが差し出したのは、サッカーボールのキーホルダー。
真ちゃんの表情が一変する。
緑「だが、それはお前の……」
蒼「いいんです。これ、昨日たまたまもらったものだから。男の子に。私には必要ないですし」
真ちゃんは何も言わずに受け取った。あ、顔、赤い。
緑「……っ。感謝する」
全く。さっきまでの不機嫌はどこへやら。
縁ちゃんを見ると、柔らかい笑顔を浮かべている。
さて。
高「学校、行きますか。蒼依ちゃんは真ちゃんとリヤカーね~」
それを聞いた蒼依ちゃんと真ちゃんの顔が真紅に染まったのは、言うまでもないよなっ。