第9章 発覚そして始まり
次の日、私は7時に家を出た。蒼依は、転校の手続きのため、すでに登校していた。
歩いていると、聞き慣れた声が聞こえてきた。
「だ~!また負けちまったよ!なんでそんなつえーんだよ真ちゃん!」
「人事を尽くしているオレが負けるわけがないのだよ」
はっとして前を見ると、案の定チャリアカーに乗った高尾君と緑間君がいた。
緑「ん?片桐か?」
緑間君の声で、こいでいた高尾君もこっちを見た。
高「あ……」
気まずい!気まずすぎる!
高尾君は、ふっと視線を逸らした。そうだよね…昨日あんなことがあれば誰だってそうする。私だってそうする。
けど、高尾君は逸らした視線を笑顔に変えてまた合わせた。
高「おはよー、縁ちゃん!案外近かったんだな~オレ達の家」
え?なんで?なんでそんな明るく話してくるの?私、あなたのこと…
高「ま、せっかく会ったんだし、一緒に行こうぜ」
縁「一緒っていうのは、つまり…」
高「そ、乗って、ね」
はぁ…やっぱり。私は呆れ顔でリヤカーに乗った。
あれ?なんで私達、こんな普通に話してるの?
頭をハテナでいっぱいにしながら、その日は登校した。