第8章 素直になりなよ
by蒼依
しばらくすると、縁は落ち着いた。
まずは、縁を着替えさせ、食卓に座らせて、夕御飯を置いた。
縁「ごめん、蒼依。私のこと、何から何まで」
蒼「気にしない気にしない!!……落ち着いたみたいだね。じゃあ、教えて。なにがあったの?」
縁は、少しずつ話し始めた。
学校で、生まれて初めて「好き」という感情を覚えた人ができたこと。
その人の紹介でマネージャーになり、友達が増えたこと。
そして、帰り道に告白され、付き合いたかったけど、自分の病気を理由に断ったこと。
…………縁らしい、か。
縁「高尾君、傷付けちゃった…」
縁は肩を震わせながらそう言った。
……私に言えるのはひとつだけ。
蒼「素直になりなよ、縁」
縁「え?」
蒼「縁が高尾君に対してホントに思ってるのは、そんなのじゃないでしょ?じゃあその気持ちは?」
縁「…高尾君が…好き……」
蒼「そう。それだよ。あとは伝えればいいだけ」
縁「だけど……!!私、あと2年の命だよ?そんなの、嫌われるに決まってる…」
蒼「それで嫌われたらそういうヤツだったってだけ」
縁「!!!!!!」
蒼「高尾君、多分今頃心ズタボロだよ」
縁「え?なんで?」
蒼「相変わらずの超鈍感ね。高尾君からすれば、自分のためにってフラれたわけ。告白した方なんだったらスパッとフラれたほうが楽なの。特に男子は」
縁「あ…!!」
蒼「明日、縁がどうするかは、私はなにも言わない。ただ、打ち明けるっていうのは、ひとつの手段だよ」
私は、そこまで言うと、縁に先にお風呂入ると伝え、部屋を出た。
―――――――
縁side
蒼依の言うとおりだ。打ち明ける…か。
とにかく明日、高尾君ともう一度話そう。その時は、全て伝えよう。
私はその時、全て決めた。
そんなこと、必要なかったとも知らずに…………