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君はオレの全てで、生きる意味なんだ。

第3章 『恋なんて、したくないのに』


 転校生活2日目。

 友達はまだいなかった。皆私を変なモノでも見るような顔でみてきて、友達どころか、話す事すらままならない。何でなのか、理由を自分なりに考えてみた結果、転校初日に宮代 海人、だった気がする。の頭を貰ったばかりの教科書で叩いてしまったことが原因だと気付いた。

(私、何やってんだろ…)

 本来なら古典の授業のはずだが先生が急な出張で、1時間自習になったので生徒達は友達同士で何やら楽しそうにおしゃべりしていたけれど私は勿論1人。隣に座っている宮代君も1人。

 でも、別に1人は辛くない。友達も欲しくないし彼氏も欲しくない。私にそう思わせる出来事が、前にいた学校であったから。

 窓の向こうの空を、飛行機が白い尾を描きながら悠々と滑空していった。晴れ渡った空を飛ぶ楽しそうな飛行機とは裏腹に、私の心は、ほんの少しどんよりと曇っていた。

「おい、前野」

 私を呼ぶ声がして、やっと窓の向こうの空から目を離した。

「何?」

「古典の自習、レポート出すんだと」

「そうなの、やればいいじゃない」

 宮代君は、話を聞いてなかったのかと言わんばかりの顔で私の知らない事実を述べた。

「この自習は二人以上のグループで作らなきゃいけないらしいんだ。お前はどうせ1人なんだろ?2人いりゃクリアなんだからやろうぜ」

 そういって、私に一枚の紙を差し出した。自習課題と書かれたプリントだった。
  
「名前、書いてくれ」

 私は渋々といった体でシャーペンを走らせた。

【前野 百合華】

「ふうん……」

「なによ、私の名前に文句でもあるの?」

「バカ。ちげーよ」

「じゃあなによ」




「良い名前だなーと思ったんだよ」




 なによ、急に。

 自己紹介の時は見向きもしないで寝てたクセに。

 前野 百合華なんてよくある名前じゃない。

 なんか、罪悪感。

 寝てたってだけで叩いちゃった。

 それだけじゃなく、罵った。

 そんな態度とった私にレポート書くの誘ってくれるなんて。

 
「ねぇ」

「ん?」

「……叩いちゃってごめん」

「気にすんなよ。オレも悪かったんだから」







 恋なんてろくなもんじゃない。

 って、わかってはいるのに…………。
 
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