第2章 始まりは偶然にも
そうは言っても、適当な住処に投げ出すことはできない。
そういうわけで、防犯が十分なマンションに私を突っ込むわけだ。ある意味ライオンの檻みたいなもの。
ただ、普通に考えてこのマンションはとても
とても高い。
そういうわけで、お姉ちゃんを信じさせるために嘘の資料まで用意された。
このお高い家賃と光熱費やら諸々、なんとかしてくれるとのことで成立した。自分で払うことができる範囲は狭すぎる。
ましてや両親にだけは面倒をかけたくなかった。
お父さんは、平々凡々だからお母さんの病院代金で手一杯だろうし(なんか、ごめん)
関さんは、その辺りも見越して話をつけにきてくれた。
適当な住まいで暮らすなんて言えば
姉はマトリの誰かにボディガードをしてもらう形で毎日を過ごすことに首を縦に振らないだろう。
姉への説得材料の一つにされたというわけだろう。
「お姉ちゃん、そういうわけでこの金額(嘘八百)ならバイト代とパパとママからの仕送りで折り合いつけられるしさ…いいかなあ?」
「で、でも李ちゃ「お姉ちゃん、わたしももうすぐ大学卒業だからさ大目に見て欲しいな?」
玲「………んん、わかったよ〜でもなんかあったらちゃんと連絡するんだよ?」
偶然とはやはり、凄まじいものであっという間に出来レースの如くことが運んでいく。
「お姉ちゃん、ありがとう!大好き!」
次の日に早速、部屋を借りて数日後には姉が先に引っ越すこととなった。
どこに引っ越すのかと聞いたところ
あの、関さんのマンションだという。
関「李ちゃん、色々とありがとうね。とても助かったよ」
「関さん。そんなことありませんよ。」
爽やかな笑みを浮かべるこの人に、嫌味は感じないが…
何か言ってやりたくなる。
関さん、と一言声をかけ振り向かせたその瞬間に
「しっかり、お姉ちゃん守ってくださいよ。もしもなことが起きると感じたら、私が姉を守ります、この身に変えたとしても」
予想外の発言に一瞬目を揺らしながらもいつもの爽やかな笑みではなく
しっかりとした真っ直ぐな瞳で小さく返事をし、まっすぐ綺麗なお辞儀をした。
「姉をよろしくお願い致します」
姉はわたしと関さんの会話は聞き取れなかったものの
双方が頭を下げているその光景に慌てて戻ってきた。
なんだかんだ、わたしはお姉ちゃんが大好きなんだ。
