第2章 始まりは偶然にも
家に帰ると連絡を取れなかった私にとても心配した姉
第一希望はどうだったのかという話に始め
何方かと言えば、マメな方である妹が連絡をよこさなかったことへの不信感からかもしれない。
そして、もう一つ
麻薬取締官 マトリであるということも絡んでいる。
お姉ちゃんがマトリの仕事を始めてからすぐの頃、直属の上司という立場の人から連絡をもらった。
随分美形ぞろいだよ、という話はお姉ちゃんから聞いていたものの
当人達と出くわした時は、口をあんぐりさせてしまった。
ご家族へ話す予定ではなかったという前置きとともに
話を始めたのは、関と名乗った直属の上司さん。 もう1人、由井と名乗った髪がピンクのお兄さん。
関さんはピンクのお兄さんを連れてくるつもりはなかった、と話していたけれど
私の目線からみると、お姉ちゃんの"特異体質"を気にかけてくれている人 と容易な考えしかなかった。
ママとパパの検査は既に終わっているけれど、私の検査はしていなかったということで
今回わざわざ私のところまで来てくれたんだということだった。
特異体質と呼ばれるものについて、よく分からなかったというのが本音だった。
お姉ちゃんは、マトリという狭き門へのために努力を惜しまず頑張っていた。だからこそ、どういう形であるにせよお姉ちゃんの結果にとても私は喜んだ。
その一方、努力してし続けて手に入れたその姿を眩しいとも思っていた。
努力は、わたしの一番苦手なことだったから。
眩しい姉の後ろで、努力もせずのらりくらりと上手くかわしてきた私。
正直、複雑以外の言葉では表せない私の心情であった。
由井さん曰く私の検査結果はすぐでるが、あくまで今わかっているもの(お姉ちゃんの結果をもとに)での判断になるから
何かわずかでも違和感や変化があれば逐一伝えてくれと言われた。
もちろん、連絡先は交換させられた。
お姉ちゃんの現状をみると、私の方も十分気にかける必要があるそうだった。
関さんはもし、不安なら部下を誰か付けることもできると説明してくれたが
頑張っている姉の邪魔はしたくないと断りを入れた。
あくまで、自分のことは自分で責任を持つ年ですからと。
成人してるしね、私。
マトリの人とあったことは、姉には言わないということで決着をつけている。
姉に言わないならば、検査も受けるという話をした。
