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スタマイ ~sister side~

第1章 出会いと始まり


新品へと姿形を変えた携帯を受け取り中身を確認した。
「あの、おいくらかかったんでしょうか」

九「いや、元はこちらの不手際だ。」
「いえ、いくらなんでもそれは納得できません。九条さん、お茶まで頂いていますからきちんと、お礼をさせてください。」

じっと目をあわせると
九「ふっ、あなたは興味深い。それなら、また我が家に来てくれないか。私と他愛もない話でもしに。」

ふわりと笑う九条さんに度肝を抜かれながら
「わかりました。是非喜んで。」

電車で帰るからといっても、納得してもらえない九条さんに仕方がないと車で送ってもらう事となったが
九「すまない、急に仕事が。新堂。帰宅がてら彼女を送ってくれ。」
新「なぜ、俺に。」
「私は、大丈夫で」
九「新堂。」
軽く息を吐く新堂さんは
「わかった、李行くぞ」
思いもよらぬ人物の出番に驚きながらも送ってもらうこととなった。
電車でもかまわなかったが、正直駅まで離れているこの豪邸から送ってもらえるのは大変助かる。
新堂さんは、私を助手席にのせると早々に車をだした。
そんなに車に乗ることが多いわけではないけれど、純粋に静かな車内に運転が上手いのだとわかった。

沈黙。といえば、車内が沈黙
という言葉にはなるがそこまで居心地の悪さも感じず
なんとなく、新堂さんの横顔をみつめる。
新「なんだ」
「いえ。なにか、というわけでもないんですけど」
新「家は○△の近くだったな。近くになったら案内してくれ。」
「はい。九条さんに頼まれたとはいえ、ありがとうございます。大変助かりました。」
新「別に、大したことではない。どうせ帰り道だからな」
「でも、私は助かったんです。感謝してます。」
車が信号で止まると、わたしのリクルートバッグについていた小さな猫のストラップをみつめていることに気づいた。
「これ、お守りなんです。」
新「ん?」
「私、今姉のところに転がり込んでいるんです。大学には実家から通っていたんですが、就活もあって一人暮らしの予定だったんです。母が、実はあまり体調が良くなくて。私がいると、母が心配するからと、父に言われて姉のところで世話になっているんです。実家を出るときに母からもらって。」
新「そうか。」
「可愛いと思いません?」
ストラップを、新堂さんの顔に近づけ見せてみると
「……そうだな」

少し嬉しそうな顔をしてくれた。
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