第1章 出会いと始まり
なにがなんだかわからないまま、連れて行かれ部屋に通された。
「あの 「携帯、お借りしてもいいかな。すぐ終わる。同じ機種でよかったかな。」
「は、はい」
私から受け取った携帯を別の人に渡して、高級スーツさんは目の前に座った。
?「あ、すまない、気が利かなくて。適当に掛けてくれ。すぐお茶を用意させる。豪、お茶を。」
豪?「はい」
豪、という名の彼はやわらかい笑みを浮かべながら出て行った。
部屋には、すでにいた黒髪のがっちりとした男性、高級スーツさん、金髪さん、そして私。
?「さて、少し時間があるが…ああ、まだ名乗っていなかったね。私の名前は、九条壮馬。君の携帯を壊したのが」
「桐嶋宏弥だ、よろしくな!李」
あっという間に、その場に溶け込ませてくれた携帯を壊した彼。憎めるタイプではなく、どちらかというと場を和ませてくれる人のように感じた。
「九条さん、桐嶋さんですね。それと…」
九「ああ、そこにいるのが新堂。新堂清志だ。彼はわたしのかかりつけの医者でね。」
新堂さんは、わたしのほうをちらりとみると何かに気づき柔かい笑みを浮かべすぐ目の前の本に目線を移した。
「?」
九「さて、そろそろ豪が戻ってくるだろう。もし、李さんさえ良ければ少し私の話し相手でもしてくれないだろうか。今日は、仕事が早く切り上げられてね。客人が来る予定ではあるんだが、それまで少し時間があるんだ。」
「是非。私でよければ!」
先ほどとは違う、柔かい笑みに少し緊張も和らいできた。
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豪さんがお茶にケーキをもって、戻ってきて
軽い挨拶を済ませると早速九条さんから質問が始まった。
九「きみは見たところ就活生のようだが」
「あ、はい。そうなんです。絶賛就活生でして。」
九「そうか、それは大変な時期に申し訳なかった。そろそろ、出来上がるとは思うんだがね。」
九条さんは、何に興味があるのかはわからなかったけれど他愛もない話から始まり、興味深い話をしてくれた。
九「ああ、いけない。もうこんな時間か。長い時間引き止めて申し訳なかったね。携帯はこのとおり無事元通りだ。」