第1章 出会いと始まり
'高級'と呼ぶであろう、スーツを着たその人は金髪のお兄さんに問いかけた。
何か込み入った話かは分からないけれど、とりあえず関わりたくない…
「…し、失礼します!!」
?「あ、こら!!てめ…!!」
走ることは、特別速いわけではないけれど火事場の馬鹿力という名にふさわしく、その場からわたしは逃げ出した。
それ以外の方法は生憎考え付かない。
(そんなこと考えてる暇ありゃしませんとも!!)
驚くことに金髪のお兄さんは追いかけてこなかった。
後ろを振り替える暇もなく、駆け抜けて携帯ショップに駆け込んだ。
「よ、良かった。逃げれた…」
?「…ほう?逃げたのか?」
「いや、それが大変で…」
携帯ショップに駆け込むと目の前に大きな影が現れた。
一つは高級そうなスーツの人と、金髪のお兄さん。
それは、とても見覚えのある人だった。
「ひっ!!」
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発言権する時間もなく、勿論発言権もありませんが…そこから連れ出され
あっという間にスーツの人の車に乗せられた。
?「きみ、名前は」
びくびくしながら、本当は名乗りたくもなかったけれど金髪のお兄さんの目力が怖すぎて答えるしかなかった。
「泉 李と申します。」
?「李さん、うちのが迷惑をかけたね。すまなかった。大分、怖がらせたようだし。申し訳ない。」
?「すまねえ!」
スーツのお兄さんは、私の名前を呼び謝罪してくれた。逃げたことを問いただされ、どこかに売り飛ばされるのではないかと思っていた10秒前の自分が馬鹿らしかった。
「いえ、私のほうこそすみません。元を正せば、お兄さんだけではなく私にも非はありますし。」
車にゆれながら、事を説明すると
?「一先ず、その携帯をなんとかしないといけない。」
「あ、でも携帯ショップにいきますから…」
?「いや、それは私が納得しない。なんとかさせてもらってもいいかな。」
そのノーと言わせない言葉と目に首を縦に振る以外できなかった。
すこし車を走らせるので、どこかの携帯ショップに連れて行かれるのかと思っていたが
目の前には、豪邸があった。
「…え?ここはどこ」
?「我が家だ」
「は…」
思わず、心の声がもれた