第8章 桐嶋さんってこんなひと
桐嶋が説明のため口を開こうとすると、九条は手で一度制した。
九「…李さん。来てくれたこと感謝する。大変申し訳ないが、これは仕事に関わってくるのでね。宮瀬と共にいつものところでお茶でもしててくれないかな。なんなら、食事は今日ではなくても別の日にしても構わない。わざわざ来てもらったのに申し訳ないが天気もあまりよくないようだ、すぐに送らせるよ。」
壮馬さんの口調から察するに、わたしはここにいたらまずい。というより邪魔なんだろうな…壮馬さんの真意は分からないけれど、あそこで言葉をとめたことが紛れもなく事実。
良いように解釈しているかもしれないけど壮馬さんの優しさからこう伝えてくれていることが良く分かる
「わかりました!今日は私もお茶菓子つくってきたんです!みなさんの感想も聞きたいですし、宮瀬さんと一緒に待ってますね!」
この場は、お姉ちゃんの邪魔にも、壮馬さんの邪魔にもなりかねない。邪魔したいのではなく、協力できることなら喜んでしたい。つまり、ここから出ていくべき。
九「そうしてもらいたい、では李さん、後程」
軽くペコリとした私は握っていたお姉ちゃんの手をぎゅっと握ると小声で「大丈夫だよ」と伝えた
姉「!」
「豪さん、いきましょう!わたしのお茶菓子の是非感想を!アドバイスを是非!あ、ご飯の支度ならお手伝いさせてください!」
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九「…で、連れてきたと?」
桐「はい」
九「勘で動いていいとは言ったが、少し勝手が過ぎるな」
桐「それはすみません。でも…」
九「…何だ」
桐「こいつは多分、何度九条さんがアポ蹴っても門前払いくらいじゃ、諦めないと思います」
九「……」
姉「…九条さん、本日は大変申し訳ございませんでした。」
九「…謝罪の心があるようなら、申し訳ないが今日は…」
姉「私の『勘違い』で、会社の方に伺ってしまいまして」
九「え?」
姉「本日は、こちらに16時、のお約束でしたね?」
九「…!」
姉「お忙しい中お時間を取っていただき、ありがとうございます。」
九「…」
桐「…どうします?」
九「…桐嶋」
桐「はい」
九「…お前の勘を信じる。…それに彼女の姉君だ。丁重に扱わねば失礼だな。豪にコーヒーの用意をさせてくれ」
桐「はい!」
その声に桐嶋は宮瀬のもとへかけていった