第8章 桐嶋さんってこんなひと
「宏弥くん、お待たせしました。」
マンション前までいけば、車に背を預ける形で桐嶋が立っていた。よくみると運転席側には、宮瀬もいる。
二人に挨拶と迎えの感謝を述べる。
桐「よう。実はちょっともう1人いるんだが、まぁお前がきにすることもねえから。ほっといてくれ。」
「…?あ、お仕事関連の方とかですか?それならわたし、電車乗り継いでいきますよ?」
桐「いや、だめだ。」
宮「そんなことしてしまったら僕らが九条さんに叱られてしまいます。李さんがよければ今日は助手席に座っていただけませんか?」
さすがに見ず知らずの人間と隣合わせはと考えた宮瀬の気遣いに、感謝をしつつそうさせてもらうことにした。
桐嶋が助手席の扉を開けてくれたことに感謝を述べつつ座る。
「え!?李!?」
聞き馴染みのある声が後から自分の名前を呼んだことに驚きつつ、後ろの座席を振り返るとそこには紛れもなく自分の姉玲が座っていた。
「え、お姉ちゃん?なんで?」
シートベルトを付けることもなく、後ろの座席に身を乗り出し会話が始まった
姉「え、なんで?」
「いやいや、こっちのセリフ」
姉「宮瀬さんの言ってた友人って李のことだったの?!」
「ご友人って言ったかは知らないけど、この人達は大事なお友達?っていうか、仲良くさせてもらってるよ」
姉「え?……く、九条さんたちと?」
そのセリフになんとなくもやっとしたものを感じながらも仲良くしてるという言葉にみるみるうちに姉の強ばっていた顔は顔面蒼白という言葉がぴったりな顔色になっていった。
「桐嶋さん!わたし後に座ります」
その光景をみていた桐嶋、宮瀬は明らかに驚きながらも李のお姉ちゃんといった言葉を頼りに座席を移動することに首を縦に振った。
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桐「まさか、李とこいつが姉妹だとはなあ!宮瀬!」
宮「ええ、驚きました。きっと九条さんも驚かれるのではないでしょうか?」
桐「だなあ!今日はカナメも新堂もいないからなーそこがちょっと残念だけどよ。あいつらの驚いた顔も見たかったなあ!」
「わたしも、まさかお姉ちゃんが車に乗ってるとは思いませんでした。」
仲睦まじい姿に、姉玲は思わず押し黙っている。いつもなら、ベラベラと妹に話しかけるがその姿が今はない。