第6章 衝撃とあんみつ
九条邸で内定のお祝いをしてもらった次の日
ピンポーン
「だれだろ?玄関じゃなくて、インターホンの方なんて珍しい」
ここの住所はほとんどの人には伝えられていない。お姉ちゃん、マトリの人、両親といったごく近い人物のみ。大学の友人たちにも伝えていない。
郵便物は以前おねえちゃんと住んでいた家に届くことになっている。しばらくはそのままって言ってたけど、そのあとどうするかは決まり次第連絡するといわれた。
ちなみにお姉ちゃんには知らせていない(関さん談)
関さん曰く元の家はカモフラージュやなにかあったときのことも考えて引き払ってない。近いうち方針決めるって言ってた。
郵便物は関さん宅に持ち帰り、中身の確認をした上で、私のところに。つまり大分昔の郵便が届くこともある。
お姉ちゃんは、ずぼらなのでこのあたりのことを忘れている。
関さんからの「済ませといた」という言葉を信じているから。そのうち何か本当に騙されそう。
マトリではなく関さんなのかというとさすがに個人情報なので、上司である関さんのみにしたとのこと。「女性だし…」といった関さんの照れた顔はまだ覚えてる。本当に怪しいものというのは中々ないので、一人の確認で十分、だが本当にマズいものはこっちで何とかするよとニコニコ笑顔で話していた。
つい最近では、高校の同級生から送られてきた結婚のお知らせが二週間以上かかって私のところに届いた。
そんなわけで、簡単に運べない郵送物以外の私の荷物のほうがもっと時間がかかってしまう。
ここに直接、となるとお姉ちゃんかマトリか両親の三択。
関さん宅に届けられた荷物をマトリの誰かが持ってきてくれるが…
----------〈回想〉-------
ピンポーン
?「こんにちは、マトリの「どうぞ」
ガチャリ
「そのまま、玄関に来るよう言われてるはずですが。今大路さん。さっき関さんから今大路さんがくることも聞いてましたし。お時間も。」
今「女性の一人暮らしですから、念のためです。」
「インターホンを鳴らさずあがれるようにって、共用玄関の鍵受け取ってますよね?」
思わず、ため息がこぼれる。
目の前のずいぶんと爽やか風の無駄に顔面偏差値の高いお顔の人は、今大路さん。下の名前は忘れた。
今「李ちゃんは、ずいぶんと厳しいですね。」
「うさんくさそうな人はとても嫌い。早く荷物ください。」
