第5章 お茶はお茶でも
「壮馬さん、これもこれもぜーんぶとっても幸せです。ありがとうございます!」
じっと、目を見て意思を伝える。今私のできる、精一杯の笑顔と思いを込める。
私の思いを壮馬さんは、無下にしたりしない。絶対に。
九「その笑顔で十分だ。気にすることなど「私!…みなさんともっと仲良くなりたいんです。今みなさんのことは良く知らないので、もっと知りたいです。これからも、よろしくお願いします。」
そのまま、つい頭を下げる。
すると九条さんは、わたしの頭をなでながらするりと顎に手を持っていき私の顔を上げさせた。
何か言うわけでもなく、やわらかく笑みをこぼしてくれた。
これが答えだとでも言うように。
その日は、あっという間でとても楽しく過ごした。
帰りは以前と同じく清志さんの車で、カナメくんと共に自宅まで送ってもらった。
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新「それじゃあ、カナメ。頼むぞ。」
山「うん。隣の部屋だし、大丈夫だよ。」
「カナメくんと部屋隣ですし、なんならここのセキュリティなら万全だって聞きま」
清志さんは私のそんな話を無視するかのようにカナメくんにこう続けた。
新「カナメ。李が部屋に入って部屋の鍵を閉めてからだぞ。」
山「うん、わかってるよ清志さん。」
「なんか、わたし置いてかれてません…」
そんなこんなで、部屋の前に来るとカナメくんは清志さんの言いつけ通り扉の前で立ち止まった。
山「李さん、清志さんの言ってること…気にしすぎですは言わないであげてね。…たぶん…やっぱりいいや。」
沈黙を交えながら言葉を濁す姿は少し気にかかった。
「そこまで言っといて?…んー大事なことみたいだし、自分で聞くよ。カナメくんありがとう。今日は。これからもよろしくね。おやすみなさい。」
山「おやすみ。」
ガチャ
指示通り扉を閉め、鍵をふたつかけた。
すると、扉の向こうにいた人の気配がなくなり隣の部屋の扉の閉まる音が聞こえた。
カナメくんも部屋に戻って休んだようだ。
「今日はいろいろあったな…あ、壮馬さんに連絡しとかなきゃ。」