第5章 お茶はお茶でも
カナメくんの先導の元、先ほどまでのあの部屋へと戻る。
扉を開けると、目の前には華やかな空間
豪華な料理と可愛いスイーツ。花瓶には青いバラをふんだんに使われている。
桐「お、やーっと戻ってきたな!主役!」
新「まったく、どこをほっつき歩いているんだ」
宮「ふふふ」
三者三様言葉を紡ぐ中、壮馬さんが口を開いた。
九「急だったので、簡単だが改めて内定おめでとう。囁かだが祝だ。」
軽く手を広げおめでとうというその姿は、気品溢れていて一般とはちがいすぎる。足がすくんでしまう。思わず後ずさりそうになった。私という人間にここまでの祝福を与えてくれたのは家族だけだった。一般家庭の我が家では、この空間に勿論劣るが気持ちの面では間違いなく負けず劣らず
ここにいる人たちは無償の愛を与えてくれた。
山「さ、李さん。」
隣にいるきらきらした高校生のエスコートで一歩踏み出す。
「みなさん、ありがとうございます!」
私には、正直不相応かもしれない。偶然の出会いから、話し相手となったものの私は何もしていないし、力もないただの学生。お仕事の邪魔になる可能性だってあり得る。こうして、祝ってくれるみんなを見てここにいていいと言ってもらえてる。このことに感謝しそれに答えることが私のすべきことなのかもしれない。まだこの人たちのことは良く知らない。知らないならこれから知っていけばいいんだ。怯えていたって仕方ない。持っているものは大した物ではないんだから思いっきりやってみればいい。
このひとたちの前では、私は卑屈になんてならなくていいし、ひねくれた捉え方をしなくてもいい。
私のことなんて何も知らないのに受け入れてくれたという事実からそう思っていいんだと思う。
スイーツは、わたしの話を元に最近のインスタ女子が好きなものをご用意してくださったようだ。
マカロンもブッセも、カラフルで見ていてとても飽きない。
この短時間によくそろえたなと思う。
一つ一つが可愛くて写真に収めていく。
そんな私を豪さんも写真に収めていた。
カナメくんは、写真が好きではないようだったが頼んでみるとすんなり答えてくれる。なかなか笑顔がもらえないことは大変だったが、宏弥くんの突拍子もないセリフにはみんなが大笑いすることとなった。清志さんも、はじめは渋っていたがフォトジェニックな写真を撮るために途中から四苦八苦している。
