• テキストサイズ

スタマイ ~sister side~

第5章 お茶はお茶でも


姉が庁舎へと戻っている頃、同じくして妹も屋敷の中へと戻ろうとしていた。

カナメくんと清志さんが屋敷に戻ったということはきっとわたしも戻ってもいいのよね……?はてはて…
でも、もしちょっと早くて迷惑だったらどうしよう…壮馬さんに迷惑かけたくない

誰かの連絡先聞いておけばよか…

「いやいや、わたし知ってるじゃんね」

姉にありがとうの返信をしたアプリを閉じ、ちょうど一番上にあったカナメくんに電話をかける。

「trrr trrr」
ワンコールなる前に柔らかい声が聞こえた

山「李さんどうしたの?なんかあった?」
先程の様子も踏まえて、私を気にかけてくれる年下の男の子になんとなく、きゅんとした。

「あのね!もう、九条さんの御用は終わったのか聞きたいなと思って電話したのだけど……今大丈夫?」

ああ、と小さく答えたカナメくんは
山「……あ、もう少し待っててくれる?」
「ん?うん、わかった!」

声の主が、もう少しと言うのでもう少し庭内をぶらつくことにした。すると、電話を切ってからすぐさまにわたしの名を呼ぶ声が聞こえた。

山「…っ、李さん!」

それは、先程電話をかけた主で…走ってきたようにみえた。

「カナメくん?どうしたの?」
山「迎えに来た。」

そう言った彼は、庭内にある花を背景に
花の中で笑う天使のように見える…男の子にも見惚れるって使うんだなあと呑気に考えた。

「……」
山「お姉さん?」

「あ、ごめん。迎えに来てくれて、どうもありがとうカナメくん」

柔らかい笑みは、凡人のわたしには随分と豪華なご褒美のようだ。

「…あ、あのね!さっきはハンカチありがとう!あとで返すね!」
山「別に気にしなくても大丈夫なのに。」

「だめだめ、思いのほかぐっしょり使わせてもらったからね!」
山「ふふ、そうなんだ?」

他愛もない会話をしながら、みんなが揃っている広間へと足を動かした。
隣にいる男の子は、高校生でとても賢くて、でもなにか影って見えて自分とつい何かを照らし合わせてしまう。
最初にマンションで話した時も、高校生にしては大人びていて賢くてと思っていた。なにか大きなものを抱えているように見えて。
私とは大きく違っている。
でも、詳しくは分からない。だからこそ、私の出来ることは普通の男の子と同じように話すことだ、と思った。
/ 46ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp