第5章 お茶はお茶でも
庭では、カナメ 新堂 李が談笑しながら花を見ていた。
花とは全く関係なく唐突に話が始まった
"好きな物" "よく見るテレビ" "よく買うもの" "趣味"といった
初めましてでよく聞かれそうなもの。
2人が予想外に何に興味を持ったのかと思いつつも淡々と答えていく。
「いわゆる、普通の女の子が好きな可愛いものも好きですよ。インスタ映なんていって、みんなで写真撮りに行ったりもしますし」
可愛いという言葉に一瞬反応した清志さんを横目でチラリと見る
山「李お姉さんも、そういうの好きなんだね。興味ないのかと思った。」
「カナメくん、わたしも普通の女の子よ…。」
新「他に、具体的にはないのか。」
「具体的に、ですかあ〜ええ。」
具体的にと言われると、つい悩んでしまう。二十歳そこそこの女子の普通に好きな物は好き。具体的と言われるとだいぶ悩む。
「うーーん、あ。」
山「なに。」
新「なんだ。」
「ふと、思いついたのは料理グッズですかね!普段からお姉ちゃんのために作ってたのでついつい見ちゃうんですよ。集めたりなんかもしたり!」
山「へえ〜そうなんだ。」
新「君らしいといえば君らしいかもな。」
そんな、ふわふわした内容をしていると。
\ピロン/
「あ、すいません。わたしの携帯です。」
山「みなよ、大事な連絡かもだし。」
なんとなく、二人にニコリと笑い携帯を取り出す。すると、目の前にはお姉ちゃんから"おめでとう"の言葉とスタンプ。
可愛い、とは言い難いキャラクターの顔をしているスタンプはやはりわたしのお姉ちゃんだ。それと…
「よく、頑張ったね。」
「今、仕事急に終わって戻るところだから今日は難しいけど週末絶対空けるから、お祝いしようね!仕事頑張ってくる!!」
お姉ちゃんは、やっぱり仕事をがむしゃらに頑張ってるようだ、文面から伝わる姉の言葉が脳内で再生される。
つい、涙が溢れそう。
「……っ」
カナメくんが、軽くわたしの肩をつつきハンカチを渡してくれた。
「ありがと…」
新「俺たちは、先に戻ってる。少し、ゆっくりしてから戻ってくるといい。」
その一言と、ポンっと頭に軽く手を乗せた清志さんは背を向け去っていった。その姿にカナメくんもニコリと柔らかな笑みを浮かべ清志さんの背を追いかけていった。