第4章 お砂糖はおいくつ
宮「九条さん、そろそろ…」
九「ああ、もうそんな時間か。李さん、少しの間カナメと…そうだな、庭の花を見てきてもらってもいいかな。」
壮馬さんの雰囲気で、人との約束なのだと気づいた。
「それなら、私お暇します。」
九「いや、ほんの数分の話だ。私が話し足りなくてね。良ければもう少し、屋敷にいてもらえると喜ばしいんだが。」
「えっと…」
迷惑になりたくないと思うが、どっちが正しいの…
新「李」
清志さんが、私の目を見て言った。
さっき清志さんが述べていた内容のことだろう。
九条さんはこの時間を今、とても大切にしてくれている。
「…分かりました!カナメくん、私お庭まだ見たことないんだ!一人だと寂しいから一緒に行こう!」
わざとおどけて、カナメくんを誘い、庭にいくことにした。
カナメくんは嫌な顔ひとつせずに笑ってくれた。
九条さんによると、清志さんも外すとのことだったので
この二人と共に庭で花をみることにした。
あらかじめ用意してあったのか、庭内にある花のリストとどこに何の花があるのか簡単な見取り図を豪さんから受け取った。
豪さんは、こうなることがわかっていたかのような対応をしてくれた。
清志さんによると、豪さんがここの庭を手入れしていて庭に何種類の花が植えてあるかは、家主の九条さんもしらないほどらしい。
その話に、カナメくんは興味が出たようで
「九条さんのしらないことが…」と小声で呟きながら小さく笑みを浮かべ、先頭で歩いていく。
その意気揚々とした背中を清志さんと並んで歩く。
「清志さんと並ぶのは、二度目ですね!」
新「今日で、三度目だ。」
「え、あ。」
新「車の中も入れるのであればな。まあ、しばしの間花を愛でるのもいいだろう。」
カナメくんほどではないが、少し清志さんも楽しそうだ。
綺麗なものやかわいいものが、わりと好んでいるのかなあとくだらないことを考えた。
「お花、楽しみですね!」