第4章 お砂糖はおいくつ
新堂さんにお茶をもってもらいつつ、うしろで片付けをするともうしでた宮瀬さんをおいて、廊下を歩く。
「新堂さんって、九条さんのお医者さんなんですよね?」
まっすぐ前を見据えていた目がちらりと私をみた。
はじめは、この動作に怒らせたのではないかとひやひやしたが
車で送ってもらっときに、少し無愛想なだけではと考えれば
彼の動作は気にならなくなった。
新「その、お医者さんという言葉は違う気もするが。九条の主治医という言葉はふさわしいだろうな。」
「そうなんですね。九条さんどこか…」
悪いという言葉は、九条さんにふさわしく感じず言葉を濁した。
新「今日は良好だから気にすることはない」
「そうですか、ならよかったです。なにもわからないので…」
新「…ふん。」
「…なんですか、新堂さん。」
鼻で笑われたような気がして、不機嫌そうな声を出す。
新「冷静に少しは考えろ。お前みたいな小娘に何ができるんだ。」
「!!…それも、そうです、けど!」
新「まったく。俺がいるんだ。お前は気にすることはない。」
「どうせ、なにもできませんからね。」
新「君は、馬鹿か。そうではないだろう。」
「え?」
新「九条が君との時間を作るには仕事も終えなければならないが、大前提として体調次第なんだ。仕事を詰めてすれば、体調を崩して君とは会えない。仕事を抑えれば、終わらず君に会えない。絶妙なバランスが必要なんだ。」
「は、はあ…」
新「ここまで言ってもわからないとは…。脳みそは使わねば意味がないぞ。こんな会話に無償でつきあってやっていることを理解すべきだ。」
コツン
「いった!!ひどい!!わからないから、考えてたのに!なんででこぴんするんです?!」
新「はあ…。君との時間を作るために、"絶妙なバランスを取る"ことを大切にしているんだ。きみのおかげでな。」
ふっと笑った、その顔は普段との仏頂面ではなくってきゅんとしたとは絶対にいいたくない。
「っ……それならそうと言ってください!!」
新「君はあほみたいだからそうすべきかな。一時間一万円でその頭を少しは使えるようにしてやってもいいぞ。」
「もー新堂さん!!」