第3章 出会いは新たに
桐「おっし、着いたぞ」
宏弥、さん。いや、宏弥くん?は最初に降りると
車の扉をあけ、さりげなく私が降りやすいように手を貸してくれた。
どちらかというと、女性をエスコートするタイプにはみえないけれど(失礼)
このあたりは、きちんとわきまえてるし、節度ある対応をしてくれる。
こういうさりげないことができるのはとても、とても重要だと私は思う。
「ありがとう。」
桐「お、おう!」
山「李さん、いこう。」
そうカナメくんは言うと、さりげなく手をとってくれる。
ここにお住まいの人たちは、さりげなさが心臓に悪い。
---------
九「李さん、いらっしゃい。ご機嫌いかがかな。」
「九条さん、こんにちは。お邪魔します。」
にこやかなその表情に、どきりとはしたけれど
不思議と不快には感じない。きっと、九条さんが敵意を持ってみているわけではないからだろうな。
いかん、いかん。ひねくれて他人をみるの本当やめないとね。
宮「泉さん、ようこそ!お飲み物は何がいいですか?」
「宮瀬さん、こんにちは。もしご迷惑でなければお手伝いさせてください!」
いつも、な・に・かを起こす宮瀬さん。
はらはらするので、とりあえずお手伝い。
宮「そんな、お手伝いだなんて…」
「一緒にやったほうが、たくさんお話できますから!ねっ?」
宮瀬さん、はイマイチよく分からない人だけれど悪い人でないとは思う。
---------
「宮瀬さん、私が運ぶのでお茶菓子持ってきていただいても?」
宮「ええ、おねがいします。」
お茶を運ぼうと歩みだすと、さすが宮瀬さんという言葉にふさわしいように後ろでおもいきり滑った音がした。
宮「泉さ、あぶな!」
「うわ!」
倒れる、と思ったとたん持っていたお茶と支えてくれた人がいた。
小さく、少しだけため息をついた音とぬくもりに顔を上げると
新「あぶなかったな」
「新堂さん!!!」
宮「新堂さん!すみません!!泉さんも大丈夫ですか?!」
後ろで、宮瀬さんがぺこぺこしている。
「大丈夫ですよ!新堂さん、ありがとうございます」
新「何もなくてよかった、怪我なんかされたら手間が増えるからな。」
ぶっきらぼうにいいながらも、お茶ののったトレーをもってくれている。
新「なにを、ぼけっとしている。いくぞ。」
「はい!」