第3章 出会いは新たに
向かいます、という話をしたら
九条さんから連絡が来た
九「迎えがいくので、場所を教えてほしい」
別に、わざわざ迎えなんてよこさなくてもいいのに。と思ったのだけれど、ご好意はきちんと受けさせてもらおうということで最寄り駅の近くをお願いした。
あれだけのお家でもあるし、なにか持っていこうとはおもったが
高級なものなど買えもしないので
「みなさんの、好きなものを聞いてからにしようっと」
すると、最寄り駅で約束していたとおり
あっという間に目の前には車がとまった。
後部座席の扉がすっと開くと桐嶋さんが降りてきた
桐「よお!!李元気か!!!」
「こんにちは、桐嶋さん!元気ですよ!」
桐「そうかそうか!!さあ、乗れ!!」
そう言われ、乗り込むと奥には既に深く座っている人物がいた。
「えっ…」
?「あ。」
そこには、先ほど挨拶をかわした高校生の男の子がいた。
山「ほら、李はやくのれって!」
後ろから、桐嶋さんが軽く私を押した
(桐嶋さんにとっての軽くで、わたしにとっては大きな力)
「ひゃあ!」
山「わっと…大丈夫、おねえさん。」
私と同じくらいといえど、高校生の男の子。
しっかり私のことを受け止めてくれた。
「驚きと混乱で…あの、ありがとう」
桐嶋さんも、乗り込み車は九条の館へと発車した。
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山「ねえ、おねえさん。もう一度名前きいてもいいかな。」
「え、あうん。改めて、泉李です。山崎、だったよね名字?」
山「…っ。カナメ。」
「えっ?」
私の顔をじいっとみつめ、目がすこしうるんだように
みつめられ、どきっとした。
山「カナメってよんで。」
桐「そうだぞ、李!!カナメはカナメだ!!」
山「宏弥くんは、宏弥くんだもんね。」
ふふっと小さく笑みを浮かべたカナメくんは、まぎれもなく高校生らしい雰囲気だった。
桐「というか、李さ。俺のことも名前で呼べよ。」
「え、あ、はい。じゃあそうしますね。」
車の中では、宏弥くんを筆頭に楽しい会話が繰り広げられ
九条家への道のりは心躍るものとなった。
不思議と、安心している自分がいた。