第3章 出会いは新たに
引越しも終わり、お隣さんへの挨拶だ。
左隣の部屋の人はほとんど帰ってこない多忙な人、と管理人+玄関にいる警備員さんが教えてくれた。
そんなこと聞くつもりもなかったけれど、郵便物受け取り諸々代行もしてくれると説明を受けたときに聞いた。
左の人は月に一度も帰ってこない多忙さん。
一方右隣の人は高校生だという。こんなに個人情報話していいのかよ、とも思ったけれど両隣の人の情報は最低限知っておいた方がいいだろうということだった。
管理人さんはちょっとオネエ気味で変わってるけれど、とてもいい人で変わった時期に引越しした私のことを気にかけてくれている。
話によると、腕っぷしも相当らしい。
そういうわけで、右隣の人への挨拶のタイミングをよーーく狙っている。挨拶が終わり次第、九条さんのところにいくつもりだ。
というよりも、家の近くまで(誰が来るか知らないけど)迎えに来てくれるとのことだった。
「今日は休日だから、普通の学生は休み?だよね。でも、部活とかしてたらいないかな〜」
と、淡い期待を胸に留めながらお隣のインターホンを押した。
?「……………はい」
「こんにちは、初めまして隣に引っ越してきた泉です。ご挨拶にまいりました。」
ガチャ
玄関に向かってくる足音がすると、目の前の扉が開いた。
そこには、高校生にしては大人びているような儚げな印象の男の子。
そういえば、高校生とは言ってたけど女の子だとは言ってなかった…。
「初めまして、泉です。よろしくおねがいします。これ良かったらどうぞ。」
引越しそば、は最近珍しいと聞いたこともあるので
(相手は高校生だし)甘すぎない、しつこくないクッキーの詰め合わせを渡した。
?「…どうも、山崎です。よろしく、おねがいします。」
目の前の山崎くんは、私の頭から下まで一瞬見た時に頭に?を浮かべたような気もしたが
特に言ってこなかったので、気にすることもなく挨拶を終えた。
「山崎くん、でよかったですか?関わることはないと思うんですが、お顔はきちんと拝見したくて。」
山「…そう、ですか。うちは、1人なのでうるさくないとは思いますが気になったら言ってください。」
ぺこ、と小さく会釈をし扉の中へと引っ込んだ。
最近の高校生ってあんな感じなんだな、と思い浮かべながら九条さんの家へと向かう準備のため部屋へと戻った。
