第1章 プロローグ
「……ッ…太宰、さん……」
『弟子ができたって云ってたけど……太宰の野郎……褒めて伸ばすことも大事だって言ってンだろうが………』
「……太宰さんの知り合いか?」
『まぁね。あ、もう着いた。』
廃病院が近かったからか、の足が速いからか、かなり早めに着いた。
は僕を背負ったまま、本部の中に入って行く。
「……降ろせ。」
『だーめ。傷口開いたら困るでしょ、ただでさえ大怪我なのに。』
……さっきから視線が痛い。
「あの………どなたでしょうか、構成員を運んで下さったのは有難いのですが……」
1人の女がに近付き、そう言った。
『ん?あぁ、 って云うんだけど……知らない?』
「さん……?あ、」
『って事で、いいよね?』
「はい、ご迷惑をおかけしました。」
そのまましばらく歩いていると、背後から聞き覚えのある声がした。
「……?」
『太宰、久しぶり!この子、廃病院で倒れてたよ。』
「……すみません、太宰さん……」
「………はぁ……」
『こら太宰、あんまり龍之介いじめないの。それよりも、手当てしてあげてくれる?』
「ねぇ、の異能力使えば簡単に治るんじゃ……」
『………あ。』
「はいつも変なとこ抜けてるね。」
「……の異能力?」
『俺の異能力?ありとあらゆるものを消す能力。怪我、消せるよ。』
……その後、異能力で手当てをしてもらい、と太宰さんと共に夕食を済ませた。
の事についても知った。幹部とほぼ同じ地位らしい。最近は有給を使って色々な国を巡っていたとか。
余談だが、フランスに行ったときに買ったらしい、「まかろん」と云う菓子を貰った。甘味は和菓子等しか食していなかった僕には新鮮な味がした。