第9章 似た者同士の扱い方(双黒夢)
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「そんなんだから彼女と長続きしないんだよ。」
「酷いなぁ。だって相手が悪いんだよ?私の日常生活を壊すやつなんていらないし。」
「まぁ、ストーカーとかは確かにそう言えるけど。」
深く溜息をついて握っている手をさらに強く締める。それが少し痛かったから、もう片方の手でその手を叩いてやった。
そう、太宰はここ最近ストーカー被害にあっている。
まぁそれも全てその女を煽った太宰が悪いのだけれど、今や血で書いた手紙を郵便受けに入れてくるらしく、状況は深刻となるばかり。
それに私にまで被害が及ぶのではないかと内心ヒヤヒヤだ。
「全て原因あんたじゃん。殺すぞ。」
「殺すが口癖になってるよ。....そんな柊も好きだけど。」
「死ね。」
「あぁ、死ねもだったね。」
余裕ぶっている太宰にイラつきが隠せない。
一層の事此奴をここで降ろして私と中也だけでお泊まりをしてしまいたい。
しかしそれでは先程と同じことの繰り返しとなるためやめておくが、それくらい頭にきている。
「太宰は床で寝てね。私と中也はベッドで寝るから。」
「やだなぁ、それ反対でしょ?」
「え、二人がベッドで寝て私が床?あり得ないわ〜。」
「....柊、そりゃあ俺らに死ねって言ってるようなもんだぞ。」
交わされる会話に耐えかねたのか中也が口を挟んだ。ミラー越しから見える中也はかなり不味そうな顔をしていた。
普通相方とかならこんなに険悪になる事はないのに、この二人ときたら会うたび必ず喧嘩をしでかす。そんなに嫌なのだろうか、否、むしろそちらのほうが何かと都合がいいのかもしれない。
仲が良すぎるとそれはそれで疑いが掛かってしまうし。
関係ってやっぱり難しいんだなぁ、と他人事に思いながら窓の外を見つめる。
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