第9章 似た者同士の扱い方(双黒夢)
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夜が更けても横浜はこの通り街がキラキラと光っている。
私のいた所じゃとてもこんな夜景は味わえない。
「(...いつも思うけど、あの観覧車見るわりには乗ったことないんだよなぁ。)」
そんなことを思いながら景色を見ていたら、時間が時間だからかなんだかウトウトし始めてしまった。
重たい瞼を持ち上げながら必死に眠気に耐えるけど、よくよく考えたらこの環境で耐える必要とないことに気づいた。
「(寝ても良いよね...、中也には申し訳ないけど。)」
諦めて目を閉じて、そのまま眠る体制に着く。帰宅まであと10分、その間は夜景を見ながらぼーっとするのもいいだろう。
今日のことを振り返ってみても、合コンなんてもの参加するもんじゃないという事が改めて感じられただけで、特にこれといって成果も何もない。
「(...、まぁ、このままでも別にいいんだけど。)」
3人口にはせずとも心ではそう思っている。
...、と私が勝手に妄想しているだけなのだが、実際その方が私的にはいい。
いつかは変わってしまうだろうけど、せめて今だけはこの平凡な日々を3人で過ごしてみたい、なんて願っても未来とはわからない。
...もしかしたら太宰が海外に行ってしまうかもしれない。もしくは中也が素敵な彼女を作って結婚してしまうかもしれない。
そんなことをふと考えた時、はてその時私はどうするのだろうかと疑問を抱いた。
...でも、答えはすぐに見つかったのだ。
きっと私ならこうなってしまうだろうと安易に予想出来てしまったから、車内の静けさが異様に私の胸を締め付けた。
きっと、その時私は。
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似た者同士の扱い方(完)
(きっとその時私は、本当の孤独になる。)