第9章 似た者同士の扱い方(双黒夢)
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ギスギスした空気が漂って、口がへの字になる。まさかこんな事で怒るなんて思ってもいなかったし。
二人の逆鱗は何処で触れるかわからないから面倒なのだ。
「...、はぁ....、私はどうしたらいいの?」
「「俺と居る/私と居る」」
「.....、二人といればいいのね。はいはい。」
意見がぴったりなのは何方も思考が似ているから。
少し息をついてからこれからどうしようかと頭を回す。
二人の機嫌を直すには二人といるしかない。何方かに行こうとしても何方かが行かせてはくれないだろう。
...ならば一層の事3人で今日は寝たほうが良い、という結果になる。
「中也、車回して。私の家行くよ。」
「俺の家じゃねぇのか。」
「だって太宰が怒る。それに二人とも明日暇なんでしょ?なら私の家でも問題ないじゃん。」
あくまで視線は合わさずに、車内から見える外の景色をぼーっと眺める。もちろんミラーも見ない。
私の提案に渋々中也は了承したものの、太宰は依然として黙ったままだ。
太宰の機嫌直しは毎回手間がかかるし、何をして良いのかよくわからないから余計に厄介で、駄々をこねる子供よりもひどい。
後ろに回って機嫌直しをした方が身の為だろう。
少しだけ機嫌が治ったはずなのにそっぽをむき続ける中也の頰にキスをして、前座席から降りる。
その際中也は唖然とした。私からキスするなんてないしね。
後部座席のドアを開ければ太宰がちらりとこちらを見てすぐにそっぽを向く。
本当に二人は似ていると今更ながら呆れ返りそうになる。
「中也、行こう。」
「...、嗚呼。」
掛かるエンジンに少し車内が揺れる。ほんの少しだけだけど。
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