第9章 似た者同士の扱い方(双黒夢)
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みんなお酒が進んできて、先ほどよりも声の大きさが大きくなってきた頃。
私はアルコールの低いカクテルに似たようなものをちびちび飲みながら辺りの様子を見る。
「えー?彼氏いないの?」
「そうなのー、だから今は募集中なんだ。」
「じゃあ俺にしちゃう?」
「やだもー!からかわないでよー!」
猫撫で声をあげる女子にげんなりしながら、摘みに手を伸ばす。
大体なんで私を強制的に連れてこさせたのか、未だに理解ができない。
考えられるのは、見比べた時に差を付けさせるためか私がいた方が此奴らとの話がしやすいかのどちらかに限る。
「柊。」
いつの間にか話の輪を抜けてきた中也が、私の眉間を伸ばすかのように指を当ててきた。
その手を即座に振り払って少し溜息をつく。
今のところを女子にでも見られたら確実に殺される。
「.....、早く帰りたい。」
「俺もだ。...だがなぁ、抜けるのは厳しいと思うぜ?」
「わかってるけど...、この際人付き合いとかどうでもいいからさっさと抜けたい。」
「じゃあ、俺と抜けるか?」
「それも無理。後の処理が面倒。」
ちらりと視線をやったのは、先程からこちらの様子を伺っている女子2人。
中也狙いなのだろう。ギラギラした視線が突き刺さって痛い。
太宰は後の女の子と男子でわいわい盛り上がっている。...まぁ、作り笑顔だけど。
「ねぇ、中也さんは彼女いるの?」
私と中也の話が途切れたのを見て、二人の女子が割り込んできた。それと同時に一人男がこちらにやってくる。
きっとこの二人の中で誰か狙いがいるのだろう。全くもって面倒だ。
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